君いる所は雨降る (ページ15)

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秋霖ページ15

「皆!!」

森に近づくと、侑李、勝利、智洋が隅に小さくなっていた

侑李「2人とも…」

勝利「…人間」

「ごめん!!」

俺は頭を下げた

3人は目をぱちくりさせている

「俺がもっと気をつけていればこんなことにならなかったのかもしれない。

もっと早く逃げ出してれば伝えられたのかもしれない」

侑李「…そんなこと」

重岡「信用しなくてもええ。

けど、裕翔くんはどれだけ大人に殴られても毎日森に向かって叫んでたんや」

シゲくんが助け舟を出してくれる

勝利「…圭人は森の中にいる」

すると勝利が立ち上がって言った

侑李「勝利…？」

勝利「圭人は森の中にいる。

『裕翔は迎えに来る。

絶対に』って言って待ってるから、行って」

赤い瞳はあの時とは違ってまっすぐ俺を見ていた

「…わかった」

俺は森の中に入っていった

周りは炎で包まれていたけど、中に入ると何事もないように変わらぬ風景が広がっていた

「圭人ー!!」

俺は名前を叫ぶ

何度も、何度も

拘束されてる時と変わらず

すると、ガサガサと音がして誰かが抱きついた

圭人「裕翔…裕翔…」

それは、ずっと会いたかった圭人だった

俺は振り向いて圭人を抱きしめる

「ごめんね、圭人。

ごめんね…」

俺は会えた嬉しさと罪悪感で涙が出てきた

圭人「裕翔とシゲは悪くないって知ってるよ。

だって、優しいもん」

「でも…でも!!」

圭人「裕翔」

圭人は優しい声で俺の名前を言う

「圭人…お願い…。

もっと名前…呼んで」

圭人「…裕翔」

「もっと」

圭人「裕…翔」

「もっと」

圭人はぎゅっと俺を強く抱きしめた

「圭人…」

圭人「俺がいるところはいつも雨降る。

そのおかげでね…この森は燃えてないんだ」

「どうして…」

圭人「俺は1日の大体をこの森で過ごしてる。

見えてないだけでずっと雨は降ってたんだ」

雨が振り続けているこの森は炎の手は回らなかったとのことだ

「圭人、あのね…」

圭人「裕翔、伝えたいことがあるんだ」

圭人が俺の話を遮る

「何、圭人？」

圭人はどこか遠くを見ている

どうしたんだろと思っていると圭人が俺を思いっきり引っ張って場所を入れ替えた

そして…