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秋霖 ページ16

「け、いと…?」



大きな音の後に、圭人の胸からじんわりと赤い花が咲き始めた



『ハハ…殺ったぞ。



妖怪を殺したぞ!!』



大人が叫ぶ



その大人は森の外へ駆け出してしまった



「圭人…圭人!!」



追いかけたかったけど、圭人が足元から崩れ始めたから急いで支えた



「なんで…なんで俺を守ったんだよ!!」



圭人の向き的に見えたはずだ



俺を抱えて避けれたはずだ



圭人「えへへ…なんでだと思う…?」



圭人の声が、呼吸が弱くなってくる



「死なないでよ、圭人!!」



圭人「俺ね…裕翔のことがね…」



「圭人のことが好きなんだよ!!」



俺は圭人の話を遮ってまで自分の気持ちを伝えた



圭人「…裕…翔?」



「初めて会った時から心臓がバクバクして止まらなかった。



圭人を好きになったんだ。



だから…お願い、死なないでよ」



肩を震わせて泣いた



悔しいよ…もっと早く気持ちを伝えればこうはならなかったのかもしれないのに…



圭人「裕翔…聞いて…」



圭人の温かい手が俺の背中に置かれる



圭人「俺も…裕翔が好き、なんだ」



「…えっ」



圭人「俺も初めて会った時から心臓がバクバクしてた。



なんだろうって思って侑李に聞いたら、これは『恋』なんだって。



裕翔と『両思い』で…よかった」



圭人の顔がどんどん白くなっていく



胸の上下の動きも小さくなってきた



「圭人…死なないで…お医者さん、行こ?」



圭人「裕翔…最期のお願い聞いて」



「医者に見てもらおうよ…」



圭人は首を横に振る



圭人「自分の命だもん、すぐにわかるよ。



俺は…もうすぐ死んじゃうって」



その現実を受け入れたくない



「そんなこと言わないでよ…圭人」



圭人「裕翔…」



圭人は最後のお願いだと言う



俺はその願いを聞くことにした



圭人「キス…して欲しいな」



「キ…ス?」



圭人「そう…誓いのキス。



憧れだったんだよ…」



俺はそっと圭人の唇に自分の唇をくっつけた



圭人「ん…」



圭人も反応する



そのままくっつけて長い時間が経ったのかもしれない



圭人が苦しくなったのか俺の胸を優しく叩いた



惜しいけど離れる



圭人「ありが…と、裕翔」



圭人はそう言って緑色の目を閉じた

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作者名:慧jump | 作者ホームページ:http://wakabassl  
作成日時:2020年8月3日 23時

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