１．1年後の初夏。〜貴女〜 ページ25
初夏のある日の夜、私はドキドキしている。
ここは、まーくんのお家。
初めて来た時もドキドキとそわそわが一緒になってて、私大変だったな。
その時は、お互いの昔話をしてね…
って、今は思い出す時じゃない。
私はこれから、まーくんに大事なことを伝えなければいけないのだ。
・
1年前。
風邪を引いた私の看病を理由に、まーくんは佐倉家を訪れることになった。
いきなりではあったけれど、私の両親にちゃんと挨拶してくれて、一緒に晩ごはんも食べていってくれた。
お父さんと千葉県の話で盛り上がっていたな…。
なんて覚えている。
その時に、まーくんからも
「一緒に来る？」
と、相葉家に誘われた私。
まーくんの言い方は軽い感じだったけれど、「両親に紹介したい」という意味であることを確認して、彼に着いていくことにした。
その後。
まーくんの帰省に合わせて、本当に私は千葉にご挨拶に行ってきた。
当日はとても緊張していたのを覚えている。
でも、彼のご両親はお二人とも温かい方々で、初めて会う私にも優しくしてくださった。
特に、お父さんの作ってくれた餃子がめっちゃ美味しくて…！
中華料理の好きな私に、ご馳走してくださったんだ。
食いしん坊万歳な話はさておき、まーくんのご両親にはきちんとご挨拶出来た。
お互いの両親に認めてもらえたことで、まーくんと私の関係はさらに温かいものになったんじゃないかな。
・
そして、今。
初めてこのお家に来た時みたいに、私はドキドキしていた。
まーくんは、もうすぐ帰って来るはず。
今日は私から話したいことがあるんだ。
ちょっとだけじりじりした気持ちで待っていると、ガチャッと鍵の開く音がした。
帰って来た！
一度ゆっくり深呼吸をして、スリッパを履いて彼を迎えに行く。
「ただいま〜」
「おかえり〜」
もう聞き慣れた挨拶を交わすと、彼も靴を脱いで自分のスリッパを履く。
おかえり、まーくん。
すぐ部屋に戻ろうとすると、ぎゅっと抱きしめられた。
「いらっしゃい、A。」
「ありがとう。」
嬉しそうに囁いてくれるから、私も抱きしめ返す。
その後少しだけ身体を離すと、ただいまのキスをされる。
いつもの二人。
一連の流れは、お仕事から帰って来たまーくんと私の儀式みたいになっていた。
その儀式は、もちろん私にとって甘く嬉しいもの。
「は〜家涼しい〜。」
既に冷房を効かせていた部屋に入り、涼んでいる彼に話をしようと私も腰を下ろした。
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あずきいろ
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
