あの子が死んだ：錆兎○(リクエスト) ページ13
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「A！しっかりしろ！！」
頭上で錆兎が話し掛けてくれている。だけど、私にはもう喋る気力もない。下半身が熱くて、燃えている様に感じる。
先程私たちは、鱗滝さんを憎んでいるという気持ち悪い大きな鬼に出逢った。錆兎と一緒に戦っていたが、錆兎が土で滑りそうになり、鬼に隙を与えてしまった。
私は錆兎を守るために前に出て、鬼に下半身の骨をぐちゃぐちゃにされた。
胃に、腸に、肺に幾つもの粉々になった骨が突き刺さって痛い。視界がぼやけていく。錆兎は、必死に私の名前を呼んでいた。
「……A。」
『……な、に……？』
喉が、焼ける様に痛い。
「お前の事が好きだ。必ず、仇は打つ。」
『……う、ん。』
「……泣くなよ。……また、逢おうな……っ。」
人に泣くなとか言う癖に、
『…アンタこそ……泣くな、よ。ばか。』
「泣いてなんか、ない…！」
____嘘だ。
お面の隙間から、涙溢れてるじゃんか。
微笑み合いながら笑っている私達の元に、「クヒヒ」と笑いながら近づいて来る鬼。錆兎は立ち上がって、お面を外し、私に笑顔を向けてくれた。そして一言、
「またな、A。」
そう言って、錆兎は鬼に向かって走り出して行った。
『またな、か……。』
逢えるかすらも、分からないのにね。もし逢えたとしても、地獄だろうなぁ。
……いや、錆兎と一緒に居れるなら、地獄でもいいや。
『また、ね……。』
錆兎が鬼の頸を切ろうとする光景を最後に、私の人生は幕を閉じた。
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「おいA、修行するぞ！」
『あ、錆兎！見て見て、花冠作ってみたよ！』
「ああ、見れば分かる。何でそんな4つもあるんだ？」
『私と、鱗滝さんと、錆兎と、義勇の分だよ！二人共喜んでくれるかな？』
「渡すんなら、早く行くぞ！俺はもう勝手に貰ってあげたからな。」
『ああ！もう、勝手に持って行かないでよ！』
花冠を被った二人の幼子達は、手を繋いで大好きな師匠と友人の元へ掛けて行った。
二人は死んだ後も、ずっと一緒に居るのが運命な様です。
「あの子が死んだ」
錆兎編END
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作者名：むうた | 作成日時：2019年6月20日 23時
