59、無力 ページ14
累side
「累…こんな私のこと、愛してくれてありがとう……」
堰を切ったように涙をポロポロと流しながら笑うAに嫌な予感が確信に変わった。
Aはたぶん、良くないことを考えている。
Aは何をするつもりなんだ…？
一体なにを……
「…ねえ…A……何考えてるの？」
焦る気持ちを抑えてAに聞いた。
そしたらAが何かを懐からそっと取り出して僕の手に握らせた。
見れば手には小さな琵琶があって、
「これは……！」
見覚えのある琵琶に僕は咄嗟に突き返そうとした。
けど遅かった。
Aは僕の指を動かして琵琶を引いた。
ベンッと琵琶の音が辺りに響く。それと同時に赤い霧が僕の身体を包み込んだ。
「累、ごめんね……
＿＿＿＿＿大好きだよ」
そう言ってAは僕に、初めて自ら口付けをした。
「A………っ！」
Aに急いで手を伸ばしたが間に合わず。
僕の視界は赤い霧に包まれた。
最後に見た、泣きながら無理して笑うAの顔が忘れられない。
なんで……っずるい…ずるいよA………
僕だってAに伝えたいことが沢山あるのに……こんな、こんな別れ方なんて…………！
「……ここ、は…」
気づけば僕は無限城にいた。
それで僕は確信した。あの琵琶は琵琶女の血鬼術で作られた琵琶だと。
なぜAがあの琵琶を持っていたのか疑問だがそんなこと今更分かったところで意味がない。
「……くそ……っ！」
僕は何もできなかった。
Aを守ると決めたのに逆に守られて。
自分の弱さが憎い…！
柱一人すら倒せない自分の弱さが…！
大切な人一人すら守れない自分の無力さが、憎い。
しかし今更後悔しても何も始まらない。
あの琵琶女を探さなければ…！
今戻れば間に合うかもしれない…！
そう思い琵琶女を探そうとこの場を離れようとした。
その時、
「なぜ累、お前がここにいる？」
背後から声がした。
後ろを振り返れば無表情の無惨様が僕を見下ろしていた。
「…無惨、様…」
.
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たぴ(プロフ) - こたつみかんさん» とても嬉しい感想ありがとうございます…！大好きと言ってもらえて嬉しすぎて号泣してます（泣）これからも頑張ります〜！ (2020年2月13日 17時) (
レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こたつみかん(プロフ) - 最新話感動しました…！累くんに夢主ちゃん…本当に良かった…( ;∀;)この作品とても大好きです！いつも応援してます！ (2020年2月12日 21時) (レス) id: 9818a33cdd (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 瑠衣さん» わあん嬉しい感想ありがとうございます！夢主ちゃん可愛いて言ってもらえて嬉しいです…！（泣）更新頑張ります〜！！ (2020年1月31日 20時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 夢主かわいい！！すっごく面白い！更新頑張れ！！ (2020年1月30日 20時) (レス) id: 343b8fe714 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 香恋さん» 感想とても嬉しいです…！！（号泣）わああん更新すごく頑張れます！ありがとうございます！！ (2020年1月26日 21時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぴ | 作成日時：2019年10月21日 19時
