58、守りたいもの ページ13
累side
目の前で赤い蜘蛛の糸がばらけていく。
半々羽織の男に僕の最硬度の糸が一本も届かなかった。
嘘だ。そんなはずはないと、もう一度血鬼術を使おうとした。
その一瞬、ほんの一瞬瞬きをした時だった。
僕はAに抱きしめられていて、
Aは半々羽織の男に斬られていた。
Aの背中から血飛沫があがる。
そのまま2人一緒に地面に倒れた。
一瞬本当に何が起きたか分からなかった。
「Aなんで…!」
「…る、い…大丈夫…?」
「僕よりもAだよ…!なんで僕なんか庇ったの?僕は鬼だから怪我しても大丈夫だってAも知ってるでしょ?」
「だって…っ私が庇わなきゃ累は頸を斬られてた……!私は…私は自分はどうなっても構わない…!だから…っ累には生きてて欲しいの……!」
そうだ、Aの言う通りさっきの一瞬、あの男がすぐ目の前に来ていたのに気づかなかった。
Aが僕のことを庇ってなければ僕はあの時頸を斬られて死んでいた。
でも、それでも、僕の為にAが傷つくくらいなら僕は…!
「…っ僕だって……「なぜ人間が鬼の味方をしている?」
Aが傷つくのは嫌なんだ、そう言おうとした言葉は半々羽織男の声にかき消された。
男がAに刀を向ける。
それを庇うように僕はAの前に立った。
「この子は関係ない。お前が欲しいのは僕の頸だろ」
男を睨みつけ再度血鬼術を使う。しかし僕の血鬼術の糸は男に届かずいとも容易く斬られてしまう。
こんな所でやられる訳にはいかない…!
僕の初めて大切だと思えた、初めて守りたいと思えた人、
Aだけでも守る……!
そう思っていた時、いきなり現れたAが男の鳩尾目掛けて蹴りを入れた。
「……ぐっ!」
男の意識は完全に僕に向けられていたからAのいきなりの攻撃に受け身も取れず男は近くの木に叩きつけられた。
さっきの蹴りで傷口が開いたのかAの血の匂いがより一層周りに広がる。
苦しそうに顔を歪めて足を縺れさせながら僕の元に走ってくるAに急いで駆け寄った。
「…累…っ」
「A…!Aは怪我してるんだから大人しくしててよ…!」
「……累、私ね、累に出会えて本当に良かった。累と一緒にいれて幸せだった…!」
「…なに、言ってるの………?」
いきなりAがそんなことを言うから動揺する。
嫌な予感が頭を過る。
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たぴ(プロフ) - こたつみかんさん» とても嬉しい感想ありがとうございます…!大好きと言ってもらえて嬉しすぎて号泣してます(泣)これからも頑張ります〜! (2020年2月13日 17時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こたつみかん(プロフ) - 最新話感動しました…!累くんに夢主ちゃん…本当に良かった…( ;∀;)この作品とても大好きです!いつも応援してます! (2020年2月12日 21時) (レス) id: 9818a33cdd (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 瑠衣さん» わあん嬉しい感想ありがとうございます!夢主ちゃん可愛いて言ってもらえて嬉しいです…!(泣)更新頑張ります〜!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 夢主かわいい!!すっごく面白い!更新頑張れ!! (2020年1月30日 20時) (レス) id: 343b8fe714 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 香恋さん» 感想とても嬉しいです…!!(号泣)わああん更新すごく頑張れます!ありがとうございます!! (2020年1月26日 21時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年10月21日 19時