7、人斬り 対 十二鬼月 参 ページ7
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「つかまえた」
「…ぐっ」
抱きしめられる力が強すぎて手足が全く動かせない。息をするのもやっとだ。
私が手足を動かそうとジタバタしていると耳元で鬼が甘い声で囁いてきた。
「ねえ…家族になる気になった?」
なる訳ないだろ、なんて言い返したかったがそんなことを言ったら私は即あの世逝きだろう。それだけは嫌だ。どうにかして抜け出さなければ。
そこでふと思いついた。効くか分からないが物は試し。本当はこんなことしたくないが今回ばかりは致し方ない。
私は涙目で鬼に話かけた。
「…なる。家族になるから離して、
お兄ちゃん」
涙を溜めて上目遣いでそう言えば鬼は目を見開いて驚いた顔で一瞬固まった。
よし、いまだ!
その隙を逃さず手に持っていた刀を思いっきり鬼の頸に突き立てた。
くそ!刺さりはしたが斬れなかった…!
「グアッ…!」
鬼が痛みで怯んだ隙に鬼から離れる。
まずい、まずいぞ。鬼は頸を斬れなかったら意味がない。すぐに再生するからだ。刀は鬼の頸に刺さったままで今は丸腰だ。今また仕掛けられたら今度こそ死ぬ。というかたぶん逃げなきゃ死ぬなこれ。
鬼が再生する前に急いでその場を離れようとしたが、後ろから背筋も凍るような冷たい声がして足が止まった。
「君は傷つけずに連れていくつもりだったけど、もういいや」
さっきとは比べ物にならない殺気。鬼の頸はもう再生しており酷く冷たい目でこちらを睨んでいた。
うわ、回復早すぎだろ…。さすがの私もドン引きする程の回復力。そしてこの強さ。普通の鬼じゃない。
「血鬼術、殺目籠」
赤い蜘蛛の巣が私の周りを囲う。一瞬だけ鬼の瞳に文字が刻まれているのが見えた。
下弦の伍。
昔殺した鬼殺隊の隊士が噂していたのを聞いたことがある。それは鬼の中でも更に強い十二鬼月の鬼だけに刻まれている文字。
そりゃ、強いわけだ。
周りを囲う糸が絞り上げるように此方に向かってくる。避けられない。
私はここで死ぬのか。
目を閉じれば走馬灯のように思い出す大好きだった兄との思い出。
お兄ちゃん、今から私もそっちに行くからね。
そこで私の世界は暗転した。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時