6、人斬り 対 十二鬼月 弍 ページ6
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「覚えててくれて嬉しいよ。また会えたね」
そう言って嬉しそうに笑う鬼。よくよく見るとこの風貌には見覚えがある。そうだ、あの森で殺した女の鬼も白髪に似たような着物を着ていた。鬼は群れないと聞くがもしかして仲間だったり?
「…もしかして復讐にきたのかな?」
嘲笑うように私が聞くと鬼はクスクス笑い始めた。
「復讐なんてしないよ。確かに君に僕の妹が殺されたけど恨んでなんかない。ただその代わり…君には僕の妹になってもらう」
妹?まさか私に妹になれと?血の繋がりもない、ましてや人間に?そもそも家族がいる鬼なんて聞いたことない。この鬼は家族ごっこが好きなのか?そんな遊びに付き合ってられる程私は暇じゃない。
あの時は気分が良かったから殺さないでおいたがこんなんならあの時殺しておけばよかったなあ。
「せっかく誘ってくれたのにごめんね。私、君みたいに家族ごっこしてる程暇じゃないんだよねえ。そんなに暇ならその辺に転がってる石でも積んで遊んだらいいんじゃないかな?家族ごっこなんて虚しい遊びよりもこっちのほうが絶対楽しいよ!まあ虚しいのには変わりないけどね」
なーんて笑って言えば鬼の気配がガラリと変わった。さっきまでの穏やかな雰囲気から一変して重々しい殺気が肌に刺さる。
ちょっとした大正ジョークなのに。冗談が通じないなあもう。
「いいよ。君の意見は聞いてないから」
そう言うと鬼は糸を私に向かって放った。最初から私に決定権ないのかよなんて思いながら向かってきた糸を斬った。
はずだった。
「うそ…」
切れたのは鬼の糸ではなく私の刀の方だった。
まさかそんなことが…!どんだけ頑丈な糸なのあれ。
この刀は昔鬼殺隊の隊士から奪った日輪刀だ。だから鬼も斬れるはずなのに。まさか糸すら切れないなんて。向かってくる糸をギリギリで交わしながら打開策を考える。刀が切れたと言っても刀身は半分残ってる。
まだ戦える。
「チッ…すばしっこいね君」
「そりゃどーも」
伊達に長年人斬りしてませんから!なんて冗談はさておき紙一重で糸を交わしながら鬼に近づく。
鬼が糸を飛ばす瞬間の隙を見て一気に間合いを詰め、鬼の頸に刀を振った。
ガキィンッと鈍い音が鳴る。硬っ!馬鹿みたいに硬い。しかしここで怯んでいてはこいつを倒せない。もう一度、今度は全力で振ろうと、刀を構え直そうとしたその時。突然鬼に抱きしめられた。
「つかまえた」
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時