21、崩壊 ページ22
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「……いいよ、もう」
「え…?」
そう言って私を地面に下ろした。累の顔を見れば童磨に向けてた時と同じ冷たい目でこちらを見ていた。
やばい、かなり怒ってる。これはなんでもいいから早く言い訳でもなんでも言えば良かった。
これはミンチにされるかもしれない、そう思って急いで弁解しようとした。
「私別に逃げようとした訳じゃ…」
「いいよ、もう何も言わなくて。好きに逃げれば?」
言いかけてた言葉が累の言葉にかぶせられる。
え?今なんて言った?
…逃げていいの?一瞬幻聴かと思ったが確かに言った。
てっきり逃げようとしたと疑われてミンチにされるかと思ったのに。
累らしくない。逃げようとしたやつはみんな殺してきた累がこんなこと言うなんて。
別にミンチになりたい訳じゃないが、様子のおかしい累に少し心配になった。
「え、いきなりどうしたの…?」
「別に。正直Aみたいにわがままで手のかかる妹なんていらないんだよね。もっと素直で僕の言うことをちゃんと聞く妹がほしかったんだ。だからもうAはいらない」
「は…?」
「Aなんかの代わりなんていくらでもいるしね」
は?何言ってるんだこいつ。
私はもういらない?代わりはいくらでもいる?
何言ってるのか全然分かんない。
私が呆然としていると累がまた冷たく言葉を放った。
「だからさ、早く消えてよ」
目障りなんだよね、そう吐き捨てる累に私の中の何かがプツンと切れた。
「…はっ。自分で私のこと攫っておいてよくそんなこと言えるよねえ。妹?バッカじゃないの?私は累のこと一度だって兄だと思ったことないよ。せいぜい誘拐犯ぐらいとしか思ってないから。そうやって馬鹿みたいに家族をずっと探してればいいんじゃない?なーんでも言うこと聞いてくれる恐怖で支配してるだけの偽物の家族をさ。累だけだよみんなを家族なんて思ってるのは。他の家族もみんな累なんて家族とすら思ってない、ただの家族ごっこが好きな気が狂った鬼としか思ってないよ。累には一生本物の家族なんて手に入ら…」
ズガンッ
大きな轟音と共に私と累の間の地面に亀裂が走る。
累がやったのだろう。
手にだした糸で地面を切り裂いた累は私に向けて冷たく言葉を放った。
「もう二度と僕の前に現れないで」
そう言って去っていく累の背中を私はただ黙って見つめることしかできなかった。
最後に見た累の酷く傷ついた顔が忘れられなかった。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時