参拾陸ノ型─たまらなく可愛かったんだ ページ41
「ウガルルルル…!」
鬼が一斉に俺達に向かって牙を向く
落ち着け…落ち着け…!
全集中 水の呼吸 壱ノ型 水面切り…!!
水をまとった刀が、鬼の首を通った
凄い、さっきより鬼を倒せる…!
仲間がいて安心できるからかな…?
「神宮寺!」
え?
ジャキンッ
すぐ近くで鬼が灰になって消える
玄樹が鬼の首を鬼が俺に襲いかかる前に斬ってくれたんだ
玄樹が倒してくれたから助かったけど、もし倒してくれなかったら死んでたかもしれない
「もうっ!神宮寺の馬鹿!よそ見したら駄目でしょ!
神宮寺が死んだら僕…駄目かもしれない…」
「玄樹…ありがとう。ごめんね」
それから俺達は鬼をどんどん倒し、
昼間は自分が鬼殺隊に入ろうとしている理由などを話した
玄樹はどうやら、恋柱に拾われて鬼狩りになったらしい
そしてどうやら玄樹は…
俺と出会うまでずっとパニック障害の発作が起きるんじゃないかって不安だったそうだ
「玄樹
もし発作が起きたら、その時は俺が守るから
守られてばかりじゃいられない」
この言葉は、自分に『玄樹を守れるほど強くなってやる』と心に決めるために言ったような言葉だった
…………
「玄樹!」
「うん!あれは間違いなく藤の花だ!」
やった!生き残ったんだ!
玄樹がいなかったら、俺は死んでいたかもしれない、いや、死んでいた
ありがとう、玄樹
そう言おうとしたその時だった
「……………っ!」
「おい、玄樹…?」
玄樹の顔が急に青ざめる
何か、恐ろしいものに襲われているような顔だ
玄樹の視線は手に向かっていた
俺も玄樹の手を見ると、手が震えていた
これが、パニック障害の発作…
そうだ、俺が、俺が玄樹を…!
俺は玄樹の手にそっと手を添えた
「大丈夫だよ」
玄樹は俺の顔を覗き込んだ
世界中の誰もが惚れてしまいそうな、あの兎の様に可愛い顔で
「ありがとう…」
玄樹は小声で、少し照れくさそうに言った
その顔が、たまらなく可愛かったんだ
………………
こうして俺たちは、最終選別からここまで、二人で乗り越えてきた
そのせいか、岸くん達にはじぐいわとか言われて、
紫耀にはハッピーセットって言われた
だけどこうやって俺たちは、不完全なお互いをいつまでも支えあって行くんだ
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作者名:秋麗司 | 作成日時:2023年7月4日 18時