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「大丈夫か…?急に倒れやがって…地味に焦ったじゃねえか」
宇髄と出会ってからここまで優しい声を聞いたことがあるだろうかという程の優しいトーンでそう言われ、さらに頭を撫でられるとAの心臓がまたドクドクと速まっていく。
『ごめんなさい…急に頭痛くなっちゃって…』
「もう痛くねえか?」
『大丈夫です…それよりも、宇髄先生が保健室まで運んでくれたんですよね、すいません…』
この場に校医は居ないことから、宇髄は職員室に行って鍵を取ってきたはずだ。
それに既に時間は放課後であり、生徒を構う時間ではない。
Aは、迷惑をかけてしまっただろうなと思いかなり落ち込んだ。
その様子を見て宇髄ははぁ、と大きくため息をつき、頭に乗せていなかった方の手でAの手をぎゅっと握る。
「A?そんな顔すんな。あと謝んなくていい。俺がしたくてしたんだからよ。こういう時は派手に、ありがとう、だろ?」
宇髄の言葉に、Aはこの人は優しい人なのだと確信した。
最初の出会い方もあり少し怖い印象を持ったが、実際は真逆と言っていい程だった。
Aはあまりの嬉しさに思わず、寝かされていたベッドから起き上がって宇髄に抱き着く。
『うん、ありがとう…宇髄先生、』
勢いでタメ口になってしまったが宇髄なら大丈夫だろうと謎の自信があった。
「ったく、派手に可愛いことしやがって…」
宇髄は全く嫌がることは無く、むしろ嬉しそうに抱き締め返す。
そして暫くお互いに無言で抱き合っていると、宇髄が何かを思い出したようにあ、と呟く。
突然何だと思いAは宇髄の顔を見上げれば、ぱち、と目が合った。
「なぁA。お前倒れる直前に自分が言ったこと覚えてるか?」
『倒れる直前…?』
Aは宇髄の質問に、思い出すように思考を巡らせた。
しかし、あの時は感じたことも無い強すぎる頭痛で他のことを考える余裕はなかった。
『んー、特に覚えては無いです…何か言ってました?』
「あーいや。覚えてねえならいいんだよ、」
宇髄はそう言ったが、その時の顔はどこか切なそうな表情だった。
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甘利 柚(プロフ) - 美沙那さん» コメントありがとうございます、、!やっぱりロスになりますよね…頑張ります! (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - ゆんさん» やっとちょっと復活してきました…!ゆんさんの作品見てもっと癒されようと思います… (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - 蓬莱寺さん» 悪魔でページ番号をふっているだけですので、バレンタイン編を挟んだらそうなってしまいました…分かりづらくて申し訳ないです、、! (2022年2月15日 12時) (レス) @page31 id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
美沙那 - 遊郭編終わったの辛いですよね...。私も絶賛宇髄さんロス中(?)です😭更新はゆっくりで良いので此れからも頑張ってください!! (2022年2月14日 16時) (レス) id: bb5e1907d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 甘利 柚さん» 柚さーん!新作頑張りますね。ありがとうございます!……もう昨日ので宇髄さんロスなの私もなので思わずまたまたコメントしちゃいました…私も朝の5時まで眠れず…(笑)お互いロス症状半端ないですね。落ち着くまでゆっくりやっていきましょ…😢 (2022年2月14日 9時) (レス) @page32 id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2022年2月7日 9時