幸福ノ音色 【宇髄天元】

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抱き着いた宇髄からは落ち着く匂いがして、Aの嫉妬やら何やらモヤモヤした感情がすーっと消えていくのが分かった。
それと同時に、自分はやっぱりこの人が好きなんだなと改めて思わされる。


『……ずっとモヤモヤしてた。毎年何個貰ってたのかな、とか、貰って嬉しかったのかな、とかすごい考えた』

「A……」

『でも、今年は私のだけ受け取ろうとしてたって知って、そんなのどうでも良くなっちゃった』


Aがそう言って宇髄の服の裾をぎゅっと掴むと、宇髄は再びはぁー、とため息をついて「あのな、」と続ける。


「俺が甘いの苦手なの知ってるだろ？」

『…うん』

「去年まで貰ってたやつ全部匂いで甘ったるいっての分かって食べてねえんだよ。甘いの食えそうなやつにそのまま渡してた」

『え、可哀想』

「おい、妬いてたやつが何言ってんだ。……だけどお前はちゃんと俺のこと考えて作ってくれただろ？それだけでド派手に嬉しいんだわ、だからありがとな」


宇髄に満面の笑みでそう言われて、Aの心臓の音がドク、ドク、と速くなっていく。

好きすぎて狂いそうだ。
妬いていたのが本当に馬鹿馬鹿しいと思うくらいに、この人は自分のことを好いてくれている。

Aは、苦しくなる心臓辺りをぎゅっと押さえた。


「A？」


そして、心配そうに見つめる宇髄の手を引いて軽く口付けを落とす。

宇髄は、普段あまりAから口付けなどしないからか、それとも不意打ちをついたからか目を見開いて驚いている。
そんな宇髄に向かって、Aは微笑んで告げた。


『…好きだよ、宇髄さん。』

「……お前はほんっとにずるいやつだなぁ…俺の方がド派手に好きだぜA」


恋人との初めてのバレンタインは、ほろ苦いビターの味がした。


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あぁ長くなってしまった…。
急遽2日前に書いたバレンタイン編でした。
進んだ話なので今後の内容とズレが生じる可能性もありますがどうかお許しください、、

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