特別編【バレンタイン】 ページ25
【バレンタイン編】
「…ねーねー、うずせんの話聞いた?」
「…聞いた聞いたー。"今年からバレンタインは誰のも受け取んねーから!"ってやつでしょー?」
「…彼女とかいたら嫌なんだけどー!」
バレンタイン1週間前。
もはや当たり前のようだが分かりやすく女子も男子もそわそわし始めている中、2年生の女子たちのそんな会話がAの耳に入ってきた。
宇髄は2年生のクラスの担任を勤めているから、おそらく教室でそんな宣言でもしたのだろう。
1週間前からそんなことを言わなければならないなんて、毎年どれほど貰っていたのだろうかと、Aの心の中に若干モヤモヤした感情が出てくる。
「……Aチャーン?うわ、何そんな怖い顔してんの?」
突然後ろから抱き着いてきたと思えばAの顔を覗いてきて引いた目をする。
ここまで来ると声を聞かなくても誰か分かってしまう。
『…宇髄さん、美術室以外では抱き着いてこないでってあれほど…』
「ハイハイ、分かった分かったって!」
宇髄は「つれねーの、」と言って拗ねながら離れる。
幸いにも周りには誰もいなかったため見られることはなかった。
宇髄のことだから、気配やら音やらで人がいない事を分かった上でやったとは思うが極力気をつけて欲しい。
『何か用ですか?』
「Aが居たから来ただけ。…で、なんであんなこえー顔してたんだよ?」
『ちょっとモヤモヤしてただけです』
「何に?」
『それは言いません』
「いやいや、おいコラ待て言えや」
Aはこの場にいると質問攻めされそうな予感がしてすぐさま逃げるようにすたこらと歩く。
言えるわけがない。
嫉妬をしたなんて恥ずかしいことが。
確かに宇髄がモテることは昔からであるし、この学校に来てからも痛いほど知っている。
いくらAと宇髄が恋人だからと言っても、独占できているからと言っても。
宇髄が群がられていたり好意を持たれたりしているところを見て嫌な気持ちにならないとは言いきれない。
『宇髄さんチャイム鳴るよ、はやく教室行かないと』
「まじかよ…A、お前逃げたなこのやろ」
『なんのことですかー』
しかし、宇髄があんな宣言をしたということはもしかしたら期待しててもいいのかも、と走って行く宇髄を見送って、Aは少し浮かれていた。
恋人には自分のだけを必要として欲しいから。
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甘利 柚(プロフ) - 美沙那さん» コメントありがとうございます、、!やっぱりロスになりますよね…頑張ります! (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - ゆんさん» やっとちょっと復活してきました…!ゆんさんの作品見てもっと癒されようと思います… (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - 蓬莱寺さん» 悪魔でページ番号をふっているだけですので、バレンタイン編を挟んだらそうなってしまいました…分かりづらくて申し訳ないです、、! (2022年2月15日 12時) (レス) @page31 id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
美沙那 - 遊郭編終わったの辛いですよね...。私も絶賛宇髄さんロス中(?)です😭更新はゆっくりで良いので此れからも頑張ってください!! (2022年2月14日 16時) (レス) id: bb5e1907d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 甘利 柚さん» 柚さーん!新作頑張りますね。ありがとうございます!……もう昨日ので宇髄さんロスなの私もなので思わずまたまたコメントしちゃいました…私も朝の5時まで眠れず…(笑)お互いロス症状半端ないですね。落ち着くまでゆっくりやっていきましょ…😢 (2022年2月14日 9時) (レス) @page32 id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2022年2月7日 9時