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それからというもの、Aは宇髄に呼ばれることが増え、ついには放課後は美術室に行くことが当たり前になった。
人間というものは共に過ごす時間が長ければ長いほど相手に惹かれていくものである。
次第に、Aにとって宇髄は気になる存在へと変わっていった。
そして勿論宇髄も今世のAのことを完全に惚れ込んでいる。
しかしお互いにそんな気持ちを抱いていながら、"教師と生徒"という壁が2人の間を阻み、境界線を越えることは許されない。
「Aー。それ終わったら冷蔵庫に入ってるやつ食っていいぞ」
『やった!今日は何ですか?』
「駅前のシュークリーム。お前食べたがってたろ?」
『さすが宇髄先生だ〜』
「太っても知らねえぞ」
『女子に言ってはいけないワード1位だよそれ』
ただAはそれでも良かった。
宇髄ファンが日に日に増えていき嫉妬だってもちろんするが、宇髄と一緒にいられるこの放課後という短い時間だけでも独り占めができているような気がして特別感をを得られていたから。
Aは、頼まれていた手伝いを終えると冷蔵庫からシュークリームを取り出して幸せそうに食べ始めた。
そんなAを、宇髄は絵を描く手を止めて愛しい目で見つめる。
「お前ほんと甘いもん好きだよな」
昔っから。
声には出さずに心の中でそう告げる。
それと同時に宇髄は、教師と生徒というものに悔しさが溢れてきた。
ここまで惚れてしまえばAに前世の記憶が有ろうが無かろうがどうでもよかった。
今すぐ抱き締めたくても抱き締められない距離にいるAに伸びかけたこの手が行き場を失う。
『宇髄先生がご褒美でくれるから余計に好きになった』
「可愛いこと言っても何も出ねえよ?」
『そんなこと言ってまた買ってきてくれるくせに』
図星だ。
宇髄は、前世よりも明らかに明るくなっているAが更に愛くるしくて仕方がなかった。
そのせいで散々甘やかしてしまう。
ニコニコしながら話すコイツをどうにかして手に入れたい、それだけをひたすら考えているが、良い答えは中々見つからない。
「……ったく。生意気なヤツめ。」
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甘利 柚(プロフ) - 美沙那さん» コメントありがとうございます、、!やっぱりロスになりますよね…頑張ります! (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - ゆんさん» やっとちょっと復活してきました…!ゆんさんの作品見てもっと癒されようと思います… (2022年2月15日 12時) (レス) id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
甘利 柚(プロフ) - 蓬莱寺さん» 悪魔でページ番号をふっているだけですので、バレンタイン編を挟んだらそうなってしまいました…分かりづらくて申し訳ないです、、! (2022年2月15日 12時) (レス) @page31 id: b1ab138b18 (このIDを非表示/違反報告)
美沙那 - 遊郭編終わったの辛いですよね...。私も絶賛宇髄さんロス中(?)です😭更新はゆっくりで良いので此れからも頑張ってください!! (2022年2月14日 16時) (レス) id: bb5e1907d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん(プロフ) - 甘利 柚さん» 柚さーん!新作頑張りますね。ありがとうございます!……もう昨日ので宇髄さんロスなの私もなので思わずまたまたコメントしちゃいました…私も朝の5時まで眠れず…(笑)お互いロス症状半端ないですね。落ち着くまでゆっくりやっていきましょ…😢 (2022年2月14日 9時) (レス) @page32 id: 45bbc3e57c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚 | 作成日時:2022年2月7日 9時