嬉しいはずなのに胸が痛い 煉獄side ページ39
Aを傷つけてしまった。
気づいたら無意識に接吻していた。
しかも目に涙を溜めていたな。
ひょっとしたら、あちらの世界に
好いている男がいたのかもしれない。
こちらの世界に来て、不安で
堪らないだろうに俺は何て事を
したのだ。
だが、Aに惹かれている
自分がいる。
ずっと母上の言葉を胸に生きてきた。
才能を持って強く産まれた者は
弱い人を守るのが役目。
どんなに哀しくても淋しくても
自分を追い込み日々鍛錬してきた。
身体だけでなく心も強く
どんな感情にも流されないよう
自分に厳しくしてきたつもりだったのに。
「不甲斐ない…。」
ここは正直に話した方がいいだろう。
そう決意すると、庭に出た
Aの後を追った。
庭の片隅でAが腕立て伏せを
していた。
「A、そのまま続けながらで
良いので聞いてくれ。
俺はさっき君に接吻をしてしまった。
ああいうのは本来好きあっている者同士が
することだ。
あちらの世界に好いている者がいたなら
本当に申し訳なかった。
率直に言う…俺は君に惹かれている。」
「…煉獄さん。」
「全く自分がこんなにも不甲斐ないとは…
穴があったら入りたい!」
「煉獄さん。」
Aは腕立て伏せをやめて立ち上がると
俺の前に歩いて行った。
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作者名:杏 | 作成日時:2020年12月25日 6時