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74 猪子と善子 ページ30

「ほんとにダメだなお前らは」


炭治郎が引き取られたことで

宇髄さんは二人に言う


「俺アンタとは口利かないんで…」


と我妻くんはずいぶんご立腹の様子


女装させたことに と思っているだろう宇髄さん


多分 あなたの顔のせいです


「ところで なんで禰夜は潜入じゃねぇんだよ」


そう口にしたのは嘴平くんだった


『こんな気味の悪い髪色じゃどこでも売れないって

私はここに溶け込んで外から色々探ってみる』


とはいえ 着物を着させられ動きづらい


「オイ!

なんかあの辺人間がウジャコラ集まってんぞ!」


嘴平くんは周りに興味津々で

キョロキョロとしていた


「あー ありゃ"花魁道中"だな」


『「ときと屋」の"鯉夏花魁"だ』


シャリン シャリン と音を立てながら

客を迎えに歩く花魁


そんなことを考えていると

また我妻くんと宇髄さんが言い合いをしている


そして嘴平くんが女の人にすごくガン見されている


「ちょいと旦那

この子うちで引き取らせて貰うよ いいかい?

「荻本屋」の遣手… アタシの目に狂いはないのさ」


荻本屋 か


「"荻本屋"さん!そりゃありがたい

達者でな 猪子──」


わけもわからず連れてかれる嘴平くんは

じっとこちらを見つめていた


…なんか可愛い



「ねぇちゃん 綺麗だな どこの子?俺と遊ばない?」


ぼけっとしていれば横からそんな声が聞こえる


『あら ごめんなさい

私の主人はすぐそこにおりますので』


そう言えば後ろから引っ張られ

気がつけば宇髄さんの腕の中にいた


「悪りぃな 旦那 こいつは俺のだ」


それを聞けばそそくさと消えてゆく男の人たち


「禰夜ちゃんにまで手出す気かぁ!!」


『善子 うるさいわよ?

そんな汚い高音聞かせると

誰も引き取ってはくれないよ?』


「うっ…」


禰夜ちゃんまで酷いよぉ と泣きべそをかく我妻くん


いやこれも任務だから

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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月13日 11時

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