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48 始まりの剣士 ページ3

──血鬼術 氷華の慈愛──


辺りには氷の裏見草が狂い咲く


「ひっ、バケモノ!!!」


怪我をして今にも

死んでしまいそうだった人間を治癒した


けど いつものように 私の姿を見ては逃げていった



額にはツノが生え

鋭い牙

凍てつくような白藍色の長い髪

氷のような白藍色の瞳


鬼だと分からなくても気味が悪いだろう


雪女のように肌は白い



鬼になる前もあまり変わらない姿だった


鬼になる前の記憶があるのも


私が特別だったからだった



「どうして人を救う」



そこに気配もなく立っていたのは

髪を高い位置で束ねた 額に痣のある男だった


花札の耳飾り が目に映る


その男は刀を持っていた


鬼狩り だ


鬼狩りでも私を見ると

向かってくるものは少なかった


その姿と異様な気配がそうさせていた


だが私の血鬼術は

殺傷能力はないものがほとんどだった


能力を悪用すれば 殺傷能力はあったかもしれないが

私は人を救ってきた


『目の前で命が失くなるのは嫌なのです』


聞き慣れた問いに

そういつものように答えた


『信じてもらえないでしょうが

私は人を喰べません』


「…」


『私は鬼舞辻無惨が憎い』


私はなにも気にせず

この鬼狩りに自分のことを話し始めた


この人ならきっと私の思いを果たしてくれる

それだけの強さがあるだろう

そう見込んで



『私を殺せば鬼舞辻無惨はいつか必ず

あなたの目の前に現れる』


だからどうか




『それでも良いのなら 殺して 私を殺して』


男はなにも言わずに静かに刀を抜いた



『私を殺して』



手を広げた

死を恐れることはない

いつか鬼舞辻無惨の手で

私が人を殺めるようになる方が恐怖であった



「君みたいな鬼に出会えてよかった

その力を人に使っていたことに感謝する」



そう言って放たれた技は暖かかった


痛くなかった


ただただ暖かかった



『…ありがとう …どうか、あなたに…慈愛を』



消えゆく体で 祈った


どうか この人が 鬼舞辻を倒せますように と




「次産まれても 人を救ってくれ」



そんな声が聞こえた気がした

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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月13日 11時

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