40 治癒の裏見草 ページ43
私は煉獄さんの前に立った
「禰夜」
煉獄さんは私の肩を掴んだ
下がれと言っているの?
そうかもしれない
あなたは柱だ
だからといって死んでいい理由ではない
私はもう誰も目の前で死なせたくないんだ
《血鬼術 氷華の慈愛》
…え?
脳裏によぎる記憶
目の前で死にかけている人間
なのに氷の裏見草が狂い咲いて治っていく
〈ひっ お、鬼だぁぁ!!!〉
意識が戻った人は私を見て逃げていく
え? 鬼?
鬼…?
私は鬼だった?
「禰夜!」
『れん、ごくさん…』
下がってろ と言われる
「俺は如何なる理由があろうとも鬼にならない」
「そうか」
そう悲しそうにした後
鬼は動く
「術式展開 破壊殺・羅針
鬼にならないなら殺す」
あぁ ダメ
やめて
それは鬼舞辻の血が濃ゆい鬼でないとできない技
「壱ノ型 不知火」
あれ、なんでこんなこと知って…
《殺して 私を殺して》
目の前にいるのは 鬼殺隊?
高い位置で結ばれた髪
額の痣
あの耳飾りは…
〈その力を人に使っていたことに感謝する〉
ああ この声は
脳に呼びかけてきた声
私は鬼だったんだ
そう思った瞬間 流れ込んでくる記憶
私の 前世の記憶
私の髪が青いのも目が青いのも
前世からのものだった
この呼吸だって 鬼だった頃の名残
今私は鬼だった私を殺してくれたあの人が
残した日の呼吸の使い手の子孫として
生まれ変わったんだ
人のために生きるために
炭治郎が動こうとするのが見えた
「動くな!!傷が開いたら致命傷になるぞ!!
待機命令!!」
煉獄さんのその声に炭治郎は身を震わせた
「弱者に構うな 杏寿郎!!
全力を出せ 俺に集中しろ!!」
煉獄さんと互角 いや圧されてる
このままじゃまずい
煉獄さんの伍ノ型 炎虎 と相手の術式がぶつかる
あれじゃ 煉獄さんがボロボロにっ…
でも私の技じゃどうにもできない
どうして
どうして…っ
166人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月2日 3時