白い鬼の物語【鬼滅の刃】 (ページ38)

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＊38話ページ38

腹に刺さった刀を抜き、目つきの悪い男は私の腕、足に二度、刀を突き刺した。

『ッあﾞあﾞ！！！』

胡蝶「っ不死川さん！」

屋敷で善逸と話していた人。しのぶさんが叫んだ。

想像以上の痛みが私を襲う。

でも、あの時みたいに、お腹は空かなかった。

目つきの悪い男、実弥と呼ばれた人は自分の腕を傷付け、私の目の前に突きだした。

血の滴るその腕を反射的に叩き、退ける。

肌を叩く、乾いた音が響いた。

不死川｢あﾞ？｣

目つきの悪い男は、私がその腕をどけたのに驚き、そんな私達を見ていた人達も目を丸くしていた。

傷がふさがって行く。

我妻｢ッAちゃん！｣

力づくで、蛇の人の腕をどけて善逸が私を庇うように前に出る。

苛立ちが達したのか、目つきの悪い男が刀を振りかぶり、私も咄嗟に善逸の前に出た。

ーーーｷｨｨﾝｯ

降ろされた刀が、高い音を出して弾かれる。

産屋敷｢これは…｣

私の前には、赤みを帯びた透明な膜が現れ、私と善逸を守ってくれた。

『…私の中に流れる血は、もうあの男のものじゃない。

　だから、あなたの血なんていらない。』

暫く、私と目つきの悪い男は睨み合っていた。

産屋敷｢それまで。｣

その声で、目つきの悪い男が頭を下げる。

お館様、と呼ばれた人が私に近づいてくる。

それが怖くて、善逸の方に後ずさる。

お館様は、ゆっくりと手を伸ばして…

私の頭を撫でた。

『？』

産屋敷｢…先程、君の中に流れる血が鬼舞辻のものでは無いと言ったね。

　それにあの治癒力、尋常じゃない。｣

『…』

頷く。

産屋敷｢そうか…善逸、説明してくれるね。｣

我妻｢はい。｣