白い鬼の物語【鬼滅の刃】 (ページ2)

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＊1話＊ページ2

昔からそうだった。

「気味が悪い。」

そう言い放ったのは、私の父親にあたる男性で、

「老婆のような髪をしていて、見ているだけで吐き気がする。

　どうして生まれてきたの？

　…本当に、私の腹から生まれたの？」

そう、聞いてきたのは母にあたる女性だった。

白い髪に白い眉、白い睫毛、白い肌。

唯一、白じゃない個所は血のように赤い瞳。

それと、体につけられたいくつもの青い痣に傷。

生まれた頃から、村人たちは私を”異形の子”と呼び、与えられた名前は”それ”だった。

「その子を引き取らせてほしい」

生まれてから十年目程の紅葉の季節だった。

旅をしているらしいおばあさんが私を引き取りたいのだと、両親に言った。

その頃の私は、両親の使い勝手のいい人形と化していて、目の悪い私は昼は外に出られないことから、家のことは全て私にやらせていた。

「コイツを引き取りたい？何いってんだ」

無論、両親は反対した。

私は近々、見世物小屋に希少な人種として売られる予定だったからだ。

もう少しで手に入る大金を、手放すはずがなかった。

「これでどうだい。」

そう言って、おばあさんが二人に差し出したのは、大金。

見世物小屋の人が差し出したお金よりも倍はあった。

差し出された大金に、うちの両親は大喜び。

私は、有無を言わせぬがまま、お婆さんに引き渡され、そのままどこかへ出掛けてしまった。

残ったのは私とお婆さんのみ。静かな空気が漂った。

「あんた、名前はなんだい？」

『…″それ″』

そう言うとお婆さんは、眉をひそめた。

帽子で隠れていたからわからなかったけど、若い頃は嘸かし美しかったのだろうと思わせる容貌のお婆さんだった。

そんな人が、私を引き取り、いたわるように顔を歪めた。

今まで、数多の人が私を見ては気味悪がるだけだったけど、お婆は違った。

私を気味悪がるどころか、私の頭を優しく撫でてくれた。

何故かはわからないけど、目から水が溢れ出してきた。

どうしてか分からなくて、首を傾げると、老婆は苦笑いしながら、また頭を撫でた。