時透双子が甘すぎる【キメツ学園】 (ページ32)

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クリスマス　壱。ページ32

【ASide】

今日は待ちに待ったクリスマスの日だ。

駄目だ自惚れるなといくら自分に言い聞かそうとも、やっぱり楽しみなものは楽しみ。

待ち合わせ場所に向かうと、先輩はもういた。

『すみません、五分遅れました』

「ん？……あー、別に大丈夫だ。行くか」

『先輩……。本当に有一郎先輩ですか？なんか素直すぎて気持ち悪い……』

「クリスマスだから機嫌いいんだよ。いいからさっさと連れてけ」

『あ、よかった。いつもの先輩だ』

それにしても……。

有一郎先輩、私服かっこよすぎない！？

クール系というか何というか、もう本当にかっこいい。いや分かってるよ、私は彼女でもないし今日はデートでもないし！

駄目だ、浮かれるな私。

私は先輩と付き合えないから、無駄にテンション上げたって無意味！でも駄目、かっこよすぎて直視できない！

「A……。お前、なんか変だぞ。どうした？」

『えっ、いや何でもないですよ！？とりあえず、行きましょう！電車に乗ります！』

「……そろそろ行く場所教えてくれたっていいだろ」

『駄目です。着くまでのお楽しみってことで』

先輩には行く場所を伝えていない。だって、いかにもなデート場所っぽくて言いづらくて。

でも、好きな人と行くのが夢だったんです！許してください、先輩。

10分程電車に揺られ、その後バスに乗ってすぐに到着した。

『はい、ここです！』

「……遊園地とか、来るの久々だ」

『ちなみに、絶叫系いけますか？』

「大丈夫だけど……。そういうことは、行く前に確認しておけよな。もし俺が絶叫無理だったらどうするつもりだったんだよ」

『先輩なら大丈夫だって、確信してたので！』

「その自信はどこから来るんだ……？」

『まぁまぁ。せっかくだし、思いっきり楽しまなきゃ損ですよ！今日はグチグチ言うの禁止です！』

デートじゃない、デートじゃない。
これはデートじゃない。

ただ先輩と後輩が遊びに来てるだけだから！自惚れるな、絶対！

「じゃあ、行くか」

『はい！……って、ええ！？』

「何か文句あるか？今日はデートなんだろ」

有一郎先輩は、私と手を重ねた。

『でっ、デートっていうのはただの口実で……。あの、えっ、なんで！？』

「ここ最近、お前をからかうのが楽しくなってきたからな。特にその間抜け面見るのが」

先輩は私の顔を見て、口の片端を上げた。

『……じゃあいいです、絶対ドキドキしません』

「言ったな？」

こうして、私のクリスマスが始まった。