【鬼滅の刃】鬼になるなんてどうかしてる

（拾弐）その感情の名は ページ17

──なんとなく、少しずつ……でも確実に、着々と“それ”は迫っていた



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先程まで煌々と舞台を照らしていた月がその輝きを失いつつあった。



月の光を掻き消す圧倒的な煌めき

それは人間の活力となり、鬼を殺す輝き





夜が、明けようとしている






「……なぁ、お前さっさと帰った方がいいんじゃねぇの？」



…このままだとオレもお前も



────消えちまうぞ？






そう、どこまでも愉しそうに言ってくるこの
相手(キチガイ)にこれ以上の長居は悪手と感じ取ったのか

『次は殺ス。─絶対にだ、覚えておけ』


それだけ言い残して鬼はスッと姿を消した



気配はもうない



この場にいる者たちから安堵のため息が漏れるのが聞こえた




「───はぁ〜ｯ！ギリｯギリだったな！！」


そう言うなりオレは横転している汽車の影に隠れるように倒れ込む。


はっきり言って限界。



先程から段々と力が入らず、動きが鈍っていくのを感じていた






派手に暴れすぎたか、それとも血を流しすぎたか……………いや、どちらも違う





(───時間切れの合図、ってとこか)





つまりはあれだ、オレの出番が終わるってことだな




─うん、もったいないことをした気がする

これじゃただコイツのために動いたようなもんじゃないか？


助けて、守って、闘って───








あぁ、

──── 一人くらい殺しておけば良かった(・・・・・・・・・・)か




場に、常人ならば卒倒してしまう程の殺気が充満した



───そのあまりの覇気に刀を抜くことはおろか、身動きを取ることさえ出来た者はいなかった




だがそれも一瞬のことで、張り詰めた空気は瞬く間に霧散していく





(…まぁいーや、今回はもう間に合わない。

だから次はもっと派手に──





───全てを血で染め上げてやろう)





スッと瞼を下ろせばそのまま意識は闇の中へと落ちていった



















最後に聞こえたのは、足音



感じたのは──×××




どうしてかは分からない。
ただ、ﾂ−と何かが頬を伝っていった




──この感情は何といったか






もう、分からない。

わからないまま落ちていく

全て抱えて堕ちていく





深い、深い、闇に向かって──





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