今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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持ち帰る荷物をまとめて
通知表を取りに職員室に行く。



「失礼します」



夏休みだからか
職員室はいつもより少しゆるっとした空気。

真っ先に宇髄先生に声をかけられたが
私は一直線に煉獄先生のデスクに向かった。



通知表を渡され、中を確認しながら
ここはこう、ここはああだって会話する。

「全体的に悪くはないが、
少し英語が足を引っ張っているな」

真剣な表情でアドバイスしてくる先生に
思わず見とれてしまう。



「夏休みはもっと英語に力を入れて勉強頑張ります！」

「うむ！」



一通り話が終わり
カバンから珈琲を取り出そうとすると


「じゃあ気をつけて帰るんだぞ！」


社会科準備室の片付けがあると言って
先生は職員室を出ていってしまった。







さすがにこれは……

ちょっと傷つくんですけど…







もしかしてもう彼女と……



いや、それはさすがにない。



と信じたい…







ぽかんと呆気に取られていると、



「どうした、乙葉」



トン、と宇髄先生に肩を叩かれた。



「あ、いえ」

「もう帰るのか？」

「少しだけ中庭のお手入れをしようかと！」



動揺している事がバレないように
なるべく平然を装って、職員室を出る。


何故か宇髄先生も一緒に。








「な、なんでついてくるんですか？」

「そりゃあ乙葉といたいからに決まってんじゃん」

「中庭暑すぎて先生死んじゃいますよ！」

「乙葉と話せない方が死ぬっつーの」



そう言ってパーカーを脱ぎ出す宇髄先生。

黒のTシャツがやけに似合うなぁなんて思いながら中庭に向かう。



「花壇のお花、干からびてたらどうしましょ」

「まぁーそこは大丈夫じゃね。
乙葉が休んでる間も煉獄が毎日水やりしてたみてぇだし」




「……え？」



思わずピタリと足が止まる。



「それは本当ですか？！」

「ああ、水やり姿があまりにも似合わなすぎて笑ったけど」



先生がジョウロを持って
蛇口から水をくんで花壇に水やりを…

なんて光景が頭の中に浮かんで
どう頑張ってもニヤケを抑えることができなかった。


「…確かに似合わないですね、ふふ」






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「じゃあ宇髄先生は花壇の草取りをお願いします！」


「……(いや、手伝うなんて一言も言ってねぇが)」


「手を切らないようにこの軍手を使って下さいね」


「…………」



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