今日も彼女は想うだけ【煉獄杏寿郎】

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「今日は暑いですねえ」

「うむ、クーラーの風が全然ここまで上がって来ないな」



お茶を飲む先生の喉が上下するのを盗み見る。

ただお茶を飲んでるだけなのに
なんでこんなにかっこいいんだろう···


顔へ手でパタパタと風を送りながら

先生のお悩み相談開始。



「.....進歩がない？」

「飯に行っても飯が美味いとか互いの仕事の話ばかりで、まったくそれらしい雰囲気にならん！」

「うーん、そうですか、あ！
なら押してダメなら引いてみる作戦はどうですか？」

「押してダメなら引いてみる？」

「はい！通称、恋の駆け引きです！」

「恋の駆け引き？」

「はい！先生はもう長い間ずっと彼女(想い人)にアプローチして来たので、きっと彼女の中で煉獄さん＝私の事がとても好きな人だと認識しています！

そこであえて少し引いてみるんです！

そうすると、あれ？もう私の事はいいのかな·····ってきっと思うはずです！そう思わせる事ができたら先生の勝ちです！ただやり過ぎは逆効果なのでさりげなくがポイントです！」

「おお！なるほど！」

そう言って急にスマホを取り出す先生。

「何するんです？」

「もう連絡しないと送ってみる！！！」

「ひ、人の話を聞いてましたか？！
さりげなくがポイントだって言ったでしょう！」



やっぱ先生に恋の駆け引きは無理かもしれない
押してダメなら無理矢理押すスタンスだし

って、私は本当にいいのか、これで

もし仮に恋の駆け引きが成功して
付き合う事になったら私はどうするの

後悔しないの？

こうやって先生と隣合わせで座ることも
二人きりになることもなくなって

ただの生徒と教師に戻って
たまに先生の惚気話を聞く日々？

そんなの嫌



「さりげなくと言うと？」

「………」

「乙葉？」

「あっ、えっと、うーん、例えば先生はきっとジムに行ったらまず一番初めに彼女の所に行きますよね？」

「うむ！」

「なら、今日から彼女のところに行く前に違うトレーナーさんのところに行って、それから彼女のところに行ってみるとかはどうですか？」

「なるほど！それなら俺にもできそうだ！」

「ふふ、何度も言っていますがやり過ぎは逆効果なので気をつけて下さいね」









「んなところで何してんだァ？」








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