柱なのに音柱の継子になってしまった。

第35話 説教 ページ38

1週間後。
もうそろそろ時間だね。雛鶴さんが行った切見世についての手がかりが全然なかった。

一体どこの切見世に行ったの？


それと、ここ最近足抜けする人多くなったよね。自○した人も。
何か関係あるのかな？



その時、別の部屋から誰かが口論してる声が聞こえた。
この声は……女将さんと蕨姫花魁だ。

何かヤバい予感がするから聞こえる場所まで気づかれないように行こう。



私は静かに声が聞こえる場所まで向かった。






「いい加減にして頂戴。」


「何を？」


「うちから怪我人や足抜け、自○する子を出すのをだよ。自○した子は、あんたが虐め○したもんだろう、蕨姫。」



え、今までの自○者と足抜けする人が増えたの全部蕨姫花魁の仕業だったの？

まあ確かに、私も花魁じゃなかった頃はよく頬とか殴られてたからね。
花魁になってからは虐められてはないけど。



「酷いことを言うわね、女将さん。
私の味方してくれないの。私の癪に障るような子達が悪いとは思わないの？」



いや、反省しろよ。
女将さんの気持ち、少しは考えなよ。



「今まで随分目を瞑ってきたけど、度を越してるんだよアンタは……もう庇いきれない…！」


「誰の稼ぎでこの店がこれだけ大きくなったと思ってんだ婆。」


「…誰にも言ってなかったけど、今この店で誰が1番稼いでるか分かる？」


「何言ってんの？私でしょ。」



「いいや、あんたじゃない。1番稼いでるのはA花魁だ。あんたとは、天地程の差があるよ。

それに、最近あんたを指名してくる人が減ってきている。あんたが客にまで悪いことしてるからだよ。

対するA花魁は、客からの絶大な人気がある。あの子は天才だ。遊女のやる気が伝わってくる。アンタもA花魁を見習いな！」



女将さん…。

私は自分が行う仕事を全部やってるだけで…。
でも努力が伝わってたとは。何か嬉しいな。



「誰があんな女なんか見習うか。絶対嫌だね。」



誰が"あんな女"だ、クソ女。
別に見習わなくて結構！



「………ずっと昔、私がまだ子供の頃聞いた事があるのよ。茶屋のお婆さんに。
物忘れが酷くなってきたけど、ある花魁の話をした…。

もの凄い別嬪だったけどものすごい性悪で、お婆さんが子供の時と中年の時にそういう花魁を見たって。
その花魁達は"姫"ってつく名を好んで使って気に食わないことがあると、首を傾けて下から睨めつけてくる独特の癖があったって。」



「ふーん。それが何？」

第36話 鬼舞辻の狙い→←第34話 師範への手紙

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す