柱なのに音柱の継子になってしまった。

第28話 これが今､都会で有名な… ページ30

「別に大丈夫ですよ。あの時は、自分の感情が制御出来なくなっただけなので…」



あれ、力が入らなくなってきた…。
頭もクラクラしてきたし…。

そういえば、今日1日何も食べてなかった…。
昨日の夜から寝てないし…。
上弦の参と戦ったりその後走ったり泣いたりしたから体が持たないや…。


ヤバい、倒れちゃう…



その時、私が倒れるのを感知した師範は私の背中を支えた。



「おい、大丈夫か!?」


「師範…。実は、今日1日何も食べてなくて寝てもないんです。」


「動けるか？」


「いえ、動けないです…。」


「貧血か。まあ、煉獄がやるはずだった仕事を寝なずに全部やって派手に走って屋敷に帰ってきたからな。

起こしても仕方ない。」



すると、師範が私の体を持ち上げた。



これってまさか…！
今都会で有名な"お姫様抱っこ"!?



「こっちの方が楽だろ。Aは寝てろ。
俺が屋敷まで派手に運んでやっからよ。」


「そんな！恥ずかしいです！
お姫様抱っこなんて初めてですよ!!」


「今は夜だぞ。誰も見てねぇよ。
それにお前、体動かないんだろ。」



反論できない。確かに体は動かない。

それにしても、師範ってお姫様抱っこまで知ってるとは。よく雛鶴さん達にしてるのかな…？




…だんだん眠たくなってきた。



私は師範に気づかれないよう静かに目を閉じた。









〜宇髄side〜


寝たか。Aの寝顔って落ち着いてるよな。

にしても、今日はすごい1日だったな。
何せ、煉獄があんな姿で帰ってくるとは思ってなかったからな。

Aもよく頑張ったな。
上弦の参に1人で戦って、その後自分1人で隠に指示して帰ってきたらものすごく泣いて今は寝てるからな。


これが柱になって1ヶ月の奴の行動力なのか？
俺はAみたいに動けねぇ。

これが才能の違いというものなのか？


育手が気になるな。Aを育てた奴がどんな奴なのかこの目で見てみたい。

まあいずれ分かるだろう。Aだって"いずれ分かる"って言ってたし、時が経ったらA自ら話してくるかもしれないしな。


それまで地味に待つとするか。



「やっぱすげぇよA。自慢の継子だ。」



俺はAの耳元でそう囁いた。

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