終幕の前の第五節 ページ21
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唯一の誤算は、婚約者の写真を見た潤の反応
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潤『A……？』
翔『……知ってる…の…？』
潤『………ああ。知ってる。忘れるはずのない顔だね。
俺がこの生涯で、ただ一人、愛した女だ』
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どうする？…と、潤は俺に尋ねた。
知った上で、それでも潤に頼むのかと。
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翔『―――好都合だよ』
潤『………』
翔『顔見知りだっていうのなら、むしろ誘惑しやすいでしょ』
潤『Aが本当に俺を好きになって、それでもし俺が翔さんを裏切ったらどうする？
Aを連れて、逃げるかもしれないよ。その可能性は考えてるわけ？』
翔『ないね。その可能性はゼロだ。
生涯でただ一人の女を、自分の過酷な境遇に巻き込めるような奴じゃない。
Aを愛しているのなら、その愛が深いほどに
お前は手を引かざるを得ないだろうから』
潤『翔さん、アンタ………会ってないうちに、なんて
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潤は、チッ…と舌打ちをした。
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潤『いいよ、引き受ける。俺だって金が手に入る上にAと恋人の時間が過ごせるんだ。
期限付きだとしても、魅力を感じずにはいられない好条件だしね。
でも、問題は金だよ。翔さん、アンタ、確か俺から臓器提供を受けるために大枚
用意できるわけ？これ以上』
翔『鋭いね。問題ない。婚約指輪がある。
………自分の娘が安い宝石を身に付けるのは気に入らないらしい誰かさんがね、実は全額出資してんの(笑)
だから、目も眩むほど大きなダイヤモンドの指輪。それを、Aから直接受け取ってくれ』
潤『………なるほどね。そういうこと』
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冷静な第三者が、この場にいたなら。この滅茶苦茶な取引に異を唱えたのかもしれないけれど
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翔『潤との時間が終わったら、Aは俺のところに戻ってくる。
彼女は俺と式を挙げる。そうなったらもう、お前には指一本触れさせない。
………潤。お前にとって、最後の夢の時間だ』
潤『……交渉成立だね。良い夢見せてもらうよ』
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お互いに、俺たちは同じ女に惹かれすぎてた。
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なるちゃん(プロフ) - 読了後、すばらしい！と叫びました！三人三様の愛が苦しく切ない。とてもよかった。ありがとうございました！ (2018年9月4日 12時) (
レス) id: a1fe1fb9b8 (このIDを非表示/違反報告)
咲．(プロフ) - 覚えました。自分の語彙力の乏しさを悔しく思いますが…全てが不幸だ、と言い切れないこのお話がとても素敵だな、と思ったし素敵なお話に出会えて私は幸せだな、と思いました。本当にありがとうございました。 (2016年2月23日 0時) (レス) id: 7f46cc82f6 (このIDを非表示/違反報告)
咲．(プロフ) - コメント失礼します。"温かく苦しい"まさにその通りだと、最後まで読み思いました。彼が病気でなければ。臓器提供をしたのが彼でなければ。おばあさんとの出会いがなければ。ほんの僅かな点と点の違いで、人生がこうも動くのか、と目の当たりにしたような錯覚を (2016年2月23日 0時) (レス) id: 7f46cc82f6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子 - 足掻けば足掻くほどにドキドキさせられる作品！結末は既に決まっている中で、ドキドキしながら読みました！ (2016年2月20日 2時) (レス) id: 05f662a4f2 (このIDを非表示/違反報告)
櫻子 - 結末は既に決まっている中で、ドキドキしながら読みました！ (2016年2月20日 2時) (レス) id: 05f662a4f2 (このIDを非表示/違反報告)
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