STORY.3 相棒(skt) ページ3
カツカツカツカツ…
さっきまでとは違う足取りで、廊下を足早に戻る。
あんなにも戻りたくなかった広間に、早く行きたいと足が動いている。
……広間に、彼女はいるだろうか。
バッ
広間の重い扉を開いた瞬間、沢山の視線が自分を襲ったが、そんなこと気にせず、あたりを見渡す。
……いない。
当てが外れてがっかりしていると、後ろから肩を叩かれた。
「……うらさん」
「よぉ、坂田。せっかく来てやったのに全然見つからないから退屈だったんだぞ?」
「…ごめんごめん。でも、隣国の第一王子様がこんなところで何やっとんの?」
「そりゃ、相棒のフィアンセw探しを手伝いにww」
「なに笑っとんねん!!」
ずっとニヤニヤしているうらさんはおいといて、もう一度広間をちらりと一瞥した。
そしてため息をつき、視線を戻す。
「あれれ〜?坂田さん、何かお探しですかぁ〜?」
「………」
「…え、もしかしてマジのやつ…?」
「…………かも?」
うらさんが、全てを見透かすような瞳でこちらをじっと見つめる。
俺は、何かへの後ろめたさからか、視線を逸らしてしまった。
すると、うらさんはふっと目を細め、俺の肩に手を置く。
「……頑張れよ。坂田が、自分は第二王子だからっていろいろ悩んでんのも俺は知ってる。でもな、お前は第二王子“だからこそ”本当に愛する相手と結ばれることができると思ってるよ。少なくとも、俺はな」
「だから、相手の素性がわからないんなら、手当たり次第彼女のことをきいてこいよ。今は、深く言及しないでおいてやるからさ」
そう言うと、うらさんはひらひらと手を振って俺に背を向けた。
少しずつ小さくなっていく背中がひどく頼もしく見えて、俺もうらさんから背を向ける。
……行動せんと、始まるもんも始まらんもんな?
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作者名:ねこワンだふる! | 作成日時:2023年2月22日 20時