深呼吸 102回目 ページ35
「ほら、行ってこい」
『…うん!』
背中を押されて、ようやく踏み出した
――――――
まだ少しだけじめじめした雰囲気が残る夏の日の夜、寮を出て重い足取りで歩く。
心拍数は次第に上がり、暑いからなのか緊張しているのか汗が頬を伝う。しかし隣を歩いている勝己の心拍数は至って普通で、むしろ落ち着いているようだった。
「おいどこ行くんだ、教師寮はここだろ」
『…へ?』
心の準備がいまいち整わず色々考えていたら、そのまま教師寮を通り過ぎようとしていたらしい。
今日こそは今後の事についてちゃんと話し合わなきゃいけない。でも何から聞いたらいいのかとか、そもそも消太さんが面と向かって話してくれるのかとか、分からない事ばっかりで俺の頭はもうショート寸前だ。
「どうせ今悩んだって意味ねえよ」
『そ、そうだけど……』
確かにそう言われてしまえばそうだけれど、やはり気まずいものは気まずい。何から言い始めればいいか分からないし、正直もう帰りたい。
『あー…俺やっぱ無理。帰る』
「そうはさせねえぞコラ、ちゃんと向き合え」
勝己に首根っこを掴まれ、とうとう行き場がなくなってしまった。全力で足を地面につけて抵抗しようとするも、そうはさせまいとゴツゴツした手のひらが力強く背中を押してくる。
「…お前はこんな所で折れるヤツじゃねえだろ」
小さくため息をついて、爆豪は小さく呟く。その声はどこか震えていたように感じて、まさかと思い振り返ると爆豪の頬は少しだけ光っていて、そして濡れていた。
いや何で?と困惑する俺をよそに、勝己は静かに口を開いた。
「俺は…悔しいけどAには勝てない。仮免試験の時の成績表を見た時、結果が良くて正直イラついた。でもお前は俺たちの知らない所で、俺たちの知らない奴らに嫌な思いをさせられて、ずっと苦しんでたんだろ。」
「俺たちの特訓なんかじゃ追いつけないような凄い所にお前は居るんだ、胸を張れ。こんなちっぽけな事で悩むんじゃねえ。」
スッと心にあったモヤモヤが晴れた。
『…うん、ありがとう勝己』
決心がついて教師寮の扉に手をかけた時、身体が少し後ろに引っ張られた。自分よりもがっしりとした腕に包まれて思考が停止したけれど、すぐに理解できた。
『(あ…俺、勝己に抱きしめられてるんだ)』
どこかの動画で4分間ハグをすると幸福感に包まれると聞いたけど、4分だと少し多いような気もするなあ
――――――
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林(プロフ) - レインさん» 半裸待機の方…！他の作品も見て下さって嬉しいです！ (2019年1月13日 14時) (
レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - シロウさん» コメントに気付かず長らく放置してしてしまってすみませんでした！ストーリーが上手く練れず亀ペースですが、温かい目で見ていただければと思います！ (2019年1月13日 14時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - ホークスさんの人と同じ人だった驚き。 (2019年1月13日 6時) (レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シロウ(プロフ) - 続き気になります！更新頑張ってください！ (2018年12月24日 20時) (レス) id: 0081c77fec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林 | 作成日時：2018年11月2日 16時
