深呼吸 91回目 ページ22
「あの個性とは仲良くやっているかい?」
聞いた事のある心臓のリズム
あの時と変わっていない声
――――――
「A君、もう少しで終わりますから…我慢できますね?」
痛む肩を軽く叩かれてそう尋ねられた。何か返さなければいけないが、もう話す気力すら残っていなかったので数回頷く。相変わらず動きにくい拘束着に包まれたま車椅子の様な物に乗せられ、どこか別の部屋に移動した。
白で統一された少し広めの部屋、チラリと目をやればガラスの様な物で仕切られているらしい。そちらに目を向ければそこには俺と同じように拘束着に身を包んだ人が座っていた。
今度は何をされるのだろうと考えていたが担当の人は部屋を出て行き、ここには俺と恐ろしい見た目をした男の人しか居なかった。顔面が潰れているのか目を向けるのが怖くなって俺は視線を床に移した。
「…弔が君の事を話していたよ、そちら側に置いておくにはもったいない人材だと。」
「あれからもう数年もたったのか…随分成長したね。」
「出来る事なら実際に君の姿を確かめたい所だが、そこに君が居るという事しか確認できなくてね。」
「あの個性とは仲良くやっているかい?」
「僕が君にプレゼントした消滅の個性だよ、覚えているだろう?」
「子供だったのにあの衝撃に耐えるとは大した子だよ、出来れば弔と共に歩んで欲しかった。」
いきなり話し始めたこの人の声、うまく表現できないが確かに聞いた事がある。いつ聞いたのかと問われればすぐには答えられないが、聞いた事が有るのは本当だ。恐ろしい程に落ち着いた鼓動に低い声、たくさんの個性が叫ぶような音と一緒に俺の家に来た人。なんだか頭が痛い。
『…あ、おじさん。』
「僕の事を覚えているのかい?」
『おとうさんの、おともだちだよね?』
「…今の君はあの時と同じだね、A君はどこに?」
『ふふ、Aはね、つかれちゃったの。だからやすんでるよ。』
「そうかそうか、彼も災難だったね。」
『ぼく、Aがやすめるようにがんばったんだけど、なかなかできなくて。』
「…どういう事かな?」
『へへ、ひみつだよ。』
ゆうえいにきてからいっかいだけ、Aとこうかんした。だってすごくたのしそうだったから。でもあたまがいたくなって、そこからずっとAががんばってた。
『(…うしろ、あいざわさんがいる?)』
ぼくはあなたのこと、にがてだよ。
――――――
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林(プロフ) - レインさん» 半裸待機の方…！他の作品も見て下さって嬉しいです！ (2019年1月13日 14時) (
レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - シロウさん» コメントに気付かず長らく放置してしてしまってすみませんでした！ストーリーが上手く練れず亀ペースですが、温かい目で見ていただければと思います！ (2019年1月13日 14時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - ホークスさんの人と同じ人だった驚き。 (2019年1月13日 6時) (レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シロウ(プロフ) - 続き気になります！更新頑張ってください！ (2018年12月24日 20時) (レス) id: 0081c77fec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林 | 作成日時：2018年11月2日 16時
