深呼吸 81回目 ページ12
「そろそろ起きろ。」
『…いや。』
わがまま期?
――――――
side: 相澤先生
『しごとやめて、ねよ?』
コテンと効果音が鳴りそうなくらいAは首を傾げて俺を仕事から遠ざけようとする。本当に酒に酔っているかのような喋り方だ、瞳もトロンと溶けきっている。それはもしかしたら睡魔のせいかもしれないが。
『ねえだめ…はやくねよ、ねえー。』
「…風邪ひいたのか?」
おでこに手を置いて熱があるかどうか調べたが別にそうではないらしい、なんなんだ一体。まるで子供に戻ったのかと疑うくらいの喋り方だ。疑う俺をよそにAは俺の腕を引っ張ってベッドに誘導する。もう寝るしかねえのか。
『おとーさ、ん…。』
スイッチが切れたようにすやすやとAは寝始めた。余りの疲労に耐え切れず頭が追い付かなくなったのだろうか、しかしどうも気になる点が残る。今だって俺の事をお父さんと呼んだ、Aを預かったのは6年くらい前。ヒーローになりたてだった俺に突然頼まれた親を亡くした子供、それがAだった。
初めは警戒心むき出しで何も話してはくれなかった、そりゃ実の両親を亡くしてすぐに赤の他人を暮らしてくださいって無茶にもほどがある。でも自然のまま過ごしていくうちにAは俺に懐き始め、ヒーロー活動に出掛ける俺を引き留める様な日もあった。そういえばあの頃も『ひとりにしないで。』と言っていた気がする。
「…まさかとは思うが、幼児退行?」
いつもなら笑えるかもしれないが、今回ばかりはちょっと笑えない。試験が終わってからの調子は良くないし、目を覚ましてからもどうも様子がいつもと違う。いい子にするからとか、別に怒ってもいないのに怒らないでとか、明らかに変だ。
「……まさか、な。」
明日は始業式だし俺も早く寝るかと目を閉じた。背中を向けて寝ていたAが俺の胸に顔を埋めるようにして抱き着いてくる。早くいつものお前に戻ってくれよと心の中で願いながら抱きしめ返した。
――――――
そして迎えた次の日の朝。いつも通りの時間に目を覚ましAを肩を揺さぶる。しかし小声で唸るだけで一向に目を覚まそうとしない。
「A、そろそろ起きろ。」
『…いや。』
無理矢理にでも起こそうと肘を掴んだ時、Aが顔をしかめて呟いた。
『弔…ごめんなさい、俺いい子にするから消さないで…おねがい。』
――――――
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林(プロフ) - レインさん» 半裸待機の方…！他の作品も見て下さって嬉しいです！ (2019年1月13日 14時) (
レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - シロウさん» コメントに気付かず長らく放置してしてしまってすみませんでした！ストーリーが上手く練れず亀ペースですが、温かい目で見ていただければと思います！ (2019年1月13日 14時) (レス) id: 54c62d0384 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - ホークスさんの人と同じ人だった驚き。 (2019年1月13日 6時) (レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シロウ(プロフ) - 続き気になります！更新頑張ってください！ (2018年12月24日 20時) (レス) id: 0081c77fec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林 | 作成日時：2018年11月2日 16時
