第4話 過去に繋がる不安の糸 ページ5
____先輩にメールを送信して、少し。
授業が始まった。
教科書とノートを開いて、
先生の話を聞く。
でも右から左に流れて、全く耳に入らない。
……菊地原先輩、見たかな。授業が始まるからって、見ていなかったらどうしよう。
いくら先輩がボーダー隊員と言っても、心配になる。
初めて体質のこと、好きな人に言ってしまった。
知ってるのはお父さん、お母さん、お兄ちゃんの家族だけ。
この体質が発覚したのは、
千佳のお兄さんが外界にボーダーの人と行ってしまった頃。
今朝起こった事が可愛く思えてしまう位の異常がその日は起こった。
熱が40度以上出て、倒れて、嘔吐して、
胃の痛みも頭痛も、不安が身体中に押し寄せて。
症状が消えた夜だった。
千佳のお兄さんが外界へ行ってしまったのは。
『嫌な事が起こるかもしれない。』
苦しむ私の横で心配そうにお見舞に来てくれた千佳に一言、
言っていれば。
____私が事前に言っていれば、千佳が泣く事は無かった?
『私が不幸を運んでしまった。』
泣いていた千佳を見てそう感じた事を体質の話を家族にした時伝えたら、
皆は否定してくれたけれどその気持ちは拭えなくて。
菊地原先輩は、ボーダー隊員。
お兄ちゃんも、遊真くんも、千佳も、出穂も。
私の周りの人はボーダー隊員の人が多くて、
私もボーダーに入らないかと誘われた事もある。
遊真くんが連れていたレプリカさんが言っていた。
私はトリオンが千佳とは程遠いけれど半分程もあるみたいで、
体質は「サイドエフェクト」と言うのだと教えてくれた。
身近で起こる負を感じる事が出来る体質___「負感知体質」と言うもので、ネイバーを倒すのにも役立つようで勧誘された。
けれど不幸を運んでしまう……
断りの言葉を言えば何か遊真くんが言いたげだったけれど、黙ってもらった。
気にしている事をお兄ちゃんにあまり言いたくない。
心配かけたくないから。
体質が発覚した時と違って、今は頼れる大切な人が居る。
『菊地原先輩……』
周りに聞こえないくらいの声で呟く。
その時、旧大学院の方で大きな爆発音が轟いた。
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作者名:あいね | 作成日時:2020年1月6日 20時