言葉にしなくても… ４

episode.169 ページ34

デュ「その同級生がどうかしたのか？」

《轟くんもね、自分の個性を恨んで無茶をしようとしてたんだ……レオナ先輩みたいに。だからどうしても止めなくちゃって思って》

デュ「そっか……マブだったら無茶しようとしてたら止めないとな」

《うーん、友達と言うより、婚約者…だから気にしてたというか》

デュ「そうだな、婚約者だから……………こ、婚約者！？」

《うん、と言っても親同士が決めたから形だから本人たちの意思はないんだけど………(でも、確かあの時………)》

声を上げて驚くデュースの隣で言葉はある事を思い出していた。
それは轟に呼ばれた時の記憶

轟“梔子、今ちょっといいか？”

“？”

轟“わりぃな急に”

フルフル

轟“…………話っつーのは………”

コクリ

轟“お前との婚約を解消しないでほしい”

“……………………(え？)”

轟“悪い、俺の勝手だが”

“《……どうして？勝手に決められてずっと解消したかったんじゃないの？》”

轟“……勝手に決められたのは腹が立ってたけど……それとこれとは別だ、俺がそうしたいだけだ”

“《う……ん……よくわからないけど、轟くんがそうしたいならいいんじゃないかな》”

轟“……ありがとうな、梔子”

轟はそれだけ言うと彼女に頭を下げて、去っていく。
そんな彼の耳が赤くなっていた事に言葉は気づく事なく轟の背中を見つめていたのだった。

(ずっと嫌われていたと思っていたからあの時はビックリしたっけ………まあ嫌われている以前にあんまり話した事もないからなおさら不思議だったなぁ)

デュ「こ、こんやく……こんや、く……こんやくしゃ………」

《デュースくん？》

デュ「…………ちなみにそのこ、こん、婚約者はどんな奴なんだ？」

《えっと……勉強も運動も得意で個性もヒーロー向きの強個性で、クールな雰囲気を持ってるけどヒーローになりたいって思いが熱くて、女の子に人気で……》

デュ「完璧じゃないか…………むしろそんな完璧な奴本当にいるんだな………」

《そうだね、私も憧れてるから(轟くんだけじゃないけど)》

デュ「わかった………僕もその婚約者のような男を目指す！」

「……………………え」

突然、拳を握りしめそう宣言するデュースに言葉は思わず声を出し首を傾げた。
そんな彼女の肩をデュースは力強く掴む。

ガシッ！

デュ「とりあえず初めに今度の期末試験！必ずいい成績をとってみせるから応援してほしい！！」

《え…あ、うん…はい》

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