異世界の魔法使い 2 (ページ6)

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第42話ページ6

ラ「フン……」

パシッ

受け取ったランスはマッシュを見下ろしながらこんな質問をした。

ラ「時にキノコ頭。この世で1番尊いものとはなんだ？」

マ「えっそんな急に……んー……シュ」

ラ「違う」

マ「…………人の命」

ラ「違う」

マ「愛」

ラ「違う」

マ「自由」

ラ「違う」

マ「シュ」

ラ「違う」

(違うんだ)

ラ「違う！違う違う違う！！なぜ即答できない……1＋1＝2、黄色と青を混ぜれば緑………決まりきった答えだ。そこの女、お前は？」

「え……………か、家族」

ラ「……………………………」

「………きょ、きょうだい……」

ラ「……………………………」

「………ふ、ふええ…………」

マ「あわわわ、泣いちゃった……やめて、シオンちゃんを泣かさないで犯罪者予備軍」

ランスに急に問われ、マッシュとは違う解答をしたシオンだがランスは無言だったためなのとその圧に泣き出してしまう。

マッシュは必死に宥めながらランスに一喝すると、彼はため息をつく。

ラ「はあ……まだその女の方がキノコ頭より理解があるようだ」

マ「？……つまりこの世で1番尊いものとは……？」

バン！！

ラ「オレの妹だ」

2人「「……………………………」」

恐ろしい形相で言い放つランスに2人は黙っていたが、しばらくしてマッシュが口を開いた。

マ「価値観は人それぞれなんじゃ………」

「う、うん………」

ラ「ほとほと愛想がつきる。この世はバカばっかりでな」

(え……急に…………)

マ「こわっ」

ランスがそれだけ言うと崖の先まで歩き、スッと3人が入ってるビンを取り出した。

ラ「このビンをここから落とす、さらにオレの重力魔法で加速させる。お前はコイツらを助けるためにビンを拾おうとするだろう、オレはそこを攻撃させてもらう。悪いな(オレは妹のためならどこまでも非道になれる)」

「っ………だめ！」

ランスはビンを見ながら、最愛の妹・アンナを思い浮かべた。

不器用なランスを心配しつつ温かい笑顔を自分に向ける妹。

その妹が突然、アザが消え魔力を失う病におかされてしまう。

アンナを心配するランスをよそに、魔法を失う我が子を諦めて国に渡そうとする両親と決別したのはつい最近だ。

ラ(この腐った仕組みを作ったのは……魔法局………オレが………神覚者になって必ずお前を助けてやる……！！お前のためなら兄ちゃんは………)

パッ！

ラ「グラビ」

パァアアア！！

「“愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)”！」