美貌の圧制者 226 ページ47
いつもに比べ、焦っている様子が伺える。
しばらく歩き回っていると奇妙な音がコロシアムに響いた。
ガリガリガリガリ！！
？「あった…………あったゾォ……ケヒッ、ケヒヒッ………ステージを直した時…………埋まっちまってんだな…………」
ガリボリ……
？「……………ヴー……うめぇ……ヴー…ヴゥ…………」
ヒョイ
「何やってんだお前」
？「！！？」
ステージの端でその場を掘って何かを食べては唸っている毛玉……グリムを見つけたAは彼を簡単に持ち上げた。
持ち上げられたグリムは驚くも、鋭い目と牙を剥きだしてAを威嚇する。
グ「誰ダァッ！？グルルル……これはァ……オレの石ダァッ！！！」
「そんなにブチギレなくても石は食べないって、そんな我を忘れる程美味いのかそれ？」
グ「グルルルル………！！！」
ザシュッ！！
「！」
グ「ヴウウウ〜〜〜！！！！」
一瞬の事でAは理解出来なかったが目の前に映る赤色が己の血である事を知る。
よく見れば自身の右手に大きな爪痕が浮かび、自分から離れたグリムの爪にはAの血がこびりついてた。
(グリ…………ム………？)
今まで爪で攻撃された事などなかったAは驚き、目を見開く。
体が傾くの感じ、そして…………
ーイグニハイド寮 イデアの自室ー
同時刻、イグニハイド寮のとある一室……イデアの部屋では完全に疲れきったイデアが机に突っ伏して深いため息をついていた。
イ「あー、今日は1年分の気力を使い果たした」
オ「お疲れ様、兄さん！今日の研究発表ステージ、本当にすごかったね」
イ「合成音声による、よどみ一切なしのハキハキトーク。ノールックタイピング・ノーミスパーフェクトのコンボは我ながらスーパープレイでしたわ」
オ「総合文化祭運営委員長のリドル・ローズハートさんにも自慢できそうだね」
イ「……まあ、質疑応答が終わった後は秒で会場を離脱し、自室に籠ってるんですがね〜」
オ「兄さんも文化祭を見て回ればよかったのに」
イ「高校生の研究発表とか、クラフトとか……レベル低いし、見てもしょうがないんだよなぁ……それに……」
ピコン♪
オ「新しいメールを受信しました。どうやら、兄さんの研究発表を見た人たちからのインターンの勧誘メールみたいだ。ＩＴ、通信、魔導工学研究、アプリ開発……あっ！」
たくさん届いたメールをざっと見るオルトは１通のあるメールを見てイデアの方を向く。
オ「すごいや、兄さん！」
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