星49 ページ6
ジ「…………………」
「ジャミルが寂しくなったらいつでも、よしよししてあげる」
ジ(俺が……寂しくなったら………)
“お前はカリム様を追い越してはならない”
“ジャミルならわかってくれるだろ？”
ジ(………ステラは………俺のことを……)
すぅ………すぅ………
「ジャミル？」
ジ「……………すぅ…………すぅ………」
気づけば、彼女の胸元に顔をうめたままのジャミルが寝息をたてていた。
最初はキョトンとしたステラだったが、彼が自分に身を任せてくれている事になんだか嬉しくなり思わず微笑む。
(ジャミル、凄く疲れてたんだね。なんだかステラ、ママみたい！………ママ？)
あ“ステラちゃん”
「………ステラのママも、あけみママみたいに優しいのかな………だったらいいなぁ……会ってみたいなぁ……」
ジャミルを抱きしめながら、ふいにあけみの事を思い浮かべて見たことのない母親に会いたいと願うのだった。
ジ「ん………朝、か？………ハッ！」
ガバッ！
目を覚ましてジャミルはスマホの時間を確認するも、勢いよく体を起こした。
そして部屋を見渡すとステラの姿はなく、自分はベッドに移動して布団をかけられていた事に気づく。
ジ「寝てしまったのか………しかもあんな赤ん坊のように甘やかされながら………はぁ………」
意識がハッキリしてきたジャミルは頭を抱えて、昨晩ステラに抱きしめられていた事を思い出し深くため息をつく。
すると、自分のテーブルの上に一口食べたケーキが残っている事に気づき近づいてそのケーキを食べ始めた。
ジ「ん………朝からケーキを食べるなんてシたことなかっだ……案外いいものだな、美味しい………あ、カリムを起こさないと」
ケーキを全て食べてから、カリムの存在を思い出し部屋を出ていくジャミル。
移動中、彼の脳裏をよぎったのは優しく微笑むステラの顔だった。
ジ「…………………お礼、しないとな……」
ボソッと呟かれた言葉は誰にも聞かれる事なく、ジャミルはカリムの部屋の前に止まるとノックをして部屋に入っていくのだった。
翌日の夜
「ねえ、ドラルクおじ様！ステラにケーキの作り方を教えて！」
ド「んん？」
ジョ「ヌ？」
事務所に遊びに来たステラを歓迎してたくさん手作り菓子を用意していたドラルクは来るなりそんな事を言い出した彼女に目を丸くする。
テーブルの上で先にお菓子を物色していたジョンも1度手を止め、首を傾げた。
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