熱砂の星２ (ページ26)

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星69 ページ26

ケーキではなく、思い切り薔薇の花びらを食べ始めるステラにジャミルは思わず突っ込んでしまった。

そんな彼に対してステラはコテッと首を傾げる。

「どーしたのジャミル？」

ジ「あ、いや………食べ物より花束の方を食べだしたから少し驚いたんだ………」

「どっちも美味しそうだけど、この薔薇とってもいい匂いがしたから食べちゃった！ケーキももちろん食べるよ！」

ジ「あ、ああ、そうか…………ならいいんだが……」

「後、この薔薇本当に綺麗〜！大切に育てられたんだね。ジャミルが育てたの？」

ジ「いや、同級生の寮で育てていた薔薇を譲ってもらったんだ。ちなみにそのケーキも先輩の手作りで……本当なら俺が用意したかったんだがステラに喜んでもらえる程ケーキ作りはうまくないし薔薇に関しては育てた事もなかったからな」

「そっか………でも、ジャミルの揚げ饅頭も美味しいよ。この薔薇みたいに！」

ジ「薔薇と揚げ饅頭を一緒にされてもな………まあ、喜んでもらえてよかったよ」

「ふふ！」

揚げ饅頭と薔薇を持って微笑むステラがなんだかおかしくなり、ふっと笑ってしまうジャミル。
そのジャミルの笑みを見てさらに笑うステラ。

ジ(ああ……こうして笑ったのはいつぶりだろうか………こんな時間がいつまでも続けばいいのに………)

ステラを見つめながらジャミルがそう思った瞬間

パァアア！

ジ「！？」

ザクッ！

ジ「っ！」

「ジャミル！？」

突然、何かが光ったと思えばジャミルの意識が遠のいた。

慌てて意識を戻すジャミルだったが持っていた包丁で自分の手を切ってしまう。
早めに意識が覚醒したからかそこまで重症ではなかったが、ポタポタと流れる血を見て傷口をおさえる。

「ジャミル！大丈夫！？血が………」

ジ「大丈夫だ、かなり血は流れてるがそんなに深くはない……それよりも」

「！」

バッ！

「そこにいるの誰！？」

血を流すジャミルに駆け寄り、彼を心配するステラだったが気配を察して振り返る。
そして扉の方に向かって叫ぶも反応はない。

だが

ヒュウゥウ！！

パキン！！

ジ「！？(壁が一瞬で氷漬けに！！？)」

「うぅー……………」

ジ「ステラ！」

ガバッ！

ステラの周りから冷気をまとった風が発生し扉から壁を全て氷漬けにする。
初めて見る彼女の能力にジャミルは唖然とするもステラが牙をむき出して壁を睨む姿を見て慌てて後ろから彼女を抱きしめた。