評価泥棒2

通知九十七件 ページ49

「凄いスカッとしたけど、あんまり追い込むと後々面倒になるから煽るのはやめたら？」

人一倍遅く体操服に着替えた亜空が隣に来て言った。

「死んだら私のせいになるの？」

「一応、あいつとの関わりはあったから死んだら事情聴取みたいなのされるんじゃない？」

そんな事されたらいろいろマズイ。

親にその事は必ず伝わるから、母親が怒り狂って私を殺すのではないだろうか。

「……なに、現在反抗期中なの？」

何かを悟った亜空が怪訝な顔で尋ねてきた。

「反抗期っていうのか知らないけど……まぁ刃向かってるね」

「私もそんな時期あったなぁ」

「過去形じゃん。今は違うの？」

「喧嘩はするけど私のことを産んでくれたからね。やっぱり感謝しないと」

「そう思ったこと一度もない」

私が不貞腐れたように言うと亜空は目を見開いて「ないの？」とまた尋ねてきた。

「だって……ウザいし。私のこといらないとか普通に言うからね？」

「ここに居ないかもしれないんだよ？」

「別にいいよ。だってそっちのほうが楽だし。こんな糞みたいなことに巻き込まれる必要もない。最高じゃん。」

「頭大丈夫？」

亜空に本気で心配されたのは初めてかもしれない。

「美雪一回カウセリング室に通ったら？確か保健室の隣でしょ？」

「行ったことないし分からない」

「悩みとか聞くって貼り紙あったし。打ち明けてみれば？」

「それって虐めとか親との関係についてでしょ？」

そう聞き返すと亜空は唇を噛み締めて目をそらした。

「ほんっと、淡々としてるよね。分かった分かった。もういいよ。なんでもない」

「褒めてるの？」

「わかんない」

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