兄が嫌いなので白鳥沢に来たら、兄が嫌いな若利君に気に入られた

リクエスト　若利と ページ20

『若利
今日も二人ぼっちだな』



ロードワーク中
前にも後ろにもチームメイトは誰もいない



「あぁ…」



夏場の空気が肌にまとわりつく



「Aちゃん？」



そんな時、後ろから聞こえた声



いつだって忘れたことのない俺の嫌いな声



『あ、にき…』


「Aちゃん！
久し振りだね」



俺の、大嫌いな笑顔で話しかけられる


〈おまえらなんて要らない〉
〈どうせお前はな〉



頭の中で壁が壊れたように溢れ出す罵倒の声

耳をふさぎたくても塞げない



「Aちゃん？
顔色悪いよ？？
大丈夫？」




心配そうに近づいてくる兄貴


来るな来るな来るな来るな来るな来るな



近くに来ていた、兄を押し返す



『俺にちかづくな…ｯ』


「え？
Aちゃん？
どうしたのさ」





少し、怒りを含んだ兄貴の声



『………ｯ』



罵倒の声が更に大きくなる



罵倒の声は、鳴り止む事が無い



息が苦しい…
昔は無かったはずの恐怖心




「…悪いが及川
今、ロードワーク中だ
後にしてくれ」


そんな俺を心配してか、無表情のまま俺の手を引く若利



「A…
行くぞ」



『う、ん…ｯ』

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