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頭をガシガシ掻きながら“1日にこないな話、普通何度もせぇへんけどなぁ”なんて言いつつ
「1回しか言わへんから、よぉ 聞いときっ」
身体ごと私の方を向くから
「はいっ」
彼と向かい合う様に座り直した
「神谷 Aさん。
初めて会うた時から
ずっと 好きでした。
俺にはもう 貴女しかいないと思ってます。
仕事柄、先の事はわからへんけど、事務所でも話した通り、ちゃんと2人の未来 考えとるから。
ファンの子達には、タイミング見て報告したいと思っとる。
事務所も メンバーも認めてくれとるし、もう心配する事ないやろ？
俺のそばに おってくれるよな？」
「私…年上 だよ？」
「知っとる」
「結構 頑固 だよ？」
「知っとるって」
「すぐ、泣くよ？」
「全部 知っとるわ」
「面倒くさい女だよ？それでも…いい？」
「んなもん、面倒くさい事あるかいな。ぜーんぶ受け止めたるわ」
「じゃあ……私も、受け止める。
“村上 信五”の全部、私が受け止めてあげる」
「ほんなら、決まりやな」
「うんっ」
「ずっと……離さへんからな」
「仕方ないから、ずっとそばにいてあげる」
「えらい上からやなぁ」
「だって、年上ですから」
「都合いい時だけ年上感だすのやめぇや」
「へへっ」
「ほしたら これ、持っとき」
スーッと私の方に移動してきた1本の鍵
「ここの鍵」
「…………」
「どーせ 俺が外で飯 食おう言うても、お前ついて来ぉへんやろ？」
「うん…行かない」
「やろ？ほしたら どこで2人で会うんやって話やん。店もダメ、車もダメ……
家やったら2人で一緒に入らへんかったら、バレへんやろ」
「……そう かな？」
「そぉやって。ごちゃごちゃ言わんと持っとき」
半ば無理に開かれた手のひらにギュッと合鍵を握らされて、その手を彼の手が優しく包んだ
「初めて……やから」
「………？？」
「合鍵 渡した人なんて、今までおらへんから」
彼の手に力が入るから、今度は空いてる自分の手を彼の手の上にのせる
「ありがとう。大切に する」
視線が合えば お互いそれを外すことは出来なくて
少しずつ縮まる 距離
………と思ったら
ギュルルルル……って音がして
「アカンっ！腹 減ったっ！」
そうだけどっ！
晩ご飯 食べそびれてるけどっ！
ムード 台無しっ！！
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作者名：ちか
| 作成日時：2015年12月12日 8時
