あのトキ一瞬で… 【紫】vol.3 (ページ21)

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何やねんそれ

“好きやけど、一緒におられへん” とか

意味わからへん

でも

彼女らしいとも思う

2人で一緒におるところ、誰かに見られたら
事務所、メンバー、その他色々な人に迷惑かけるのは俺かてわかっとる

せやけど、好きな人に“好き”って言われとるのに、そう易々と引き下がれるわけがない

彼女を納得させるためにはこれしかない

まずは事務所まで行き、社長に直談判

その後、彼女を再び車に乗せて次の目的地へ

「どこ…行くの？」

バックミラー越し、不安そうに尋ねる彼女に

「もうすぐ着くから」

無愛想に答えてしまうのは、自分の気持ちを抑えるため

ここで“好き”の気持ちを爆発させてもぉたら “無理”って拒絶されるのは眼に見えとるから

通い慣れた店。いつもの地下駐車場
自分で運転してきたのは久しぶりやな

そんなどぉでもいい事を思いつつ、車を止めた

「着いたで」

「ここって…」

そう。ここはメンバーと彼女と食事をした思い出の場所

「行こか」

ホンマは手繋ぎたい。でも、それはちゃんとした答えが出た後で…

彼女の手首をそっと掴んでエレベーターに乗り込んだ

この間と同じ階。この間と同じ部屋の前

「携帯貸して？」

「………？？」

「えぇから、はよっ」

彼女の携帯から俺の携帯に電話をかけて

「そのまま切らずに聞いといてな」

襖を開けても見えない場所に彼女を残し、部屋の中に入っていく

「すまんなぁ。みんな忙しいのに集まってもろぉて」

繋がったままの携帯電話をテーブルの上に置く

「ええよ。今日はヤスと飯行こか？言うてたとこやもん。大丈夫やで。なっ、ヤス？」

「ぉん。急なお呼び出しでビックリしたけどなっ」

明るく言うてくれる、大倉とヤス

「村上くん、どないしたん？なんかあったんか？」

「信ちゃんが全員呼び出すとか、今までなかったもんなぁ」

心配そうな亮とマル

「何やねん、急に話って」

何かを察しているすばるに

「……で何？俺、明日早いんやけど」

不機嫌ですオーラ全開のヨコ

「実は、な……」