あのトキ一瞬で… 【紫】vol.3 (ページ22)

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「A先生に、今日会うてきてん」

“キャ～”だの“おぉー”だの歓声の中

「やっと会えたんやね、良かったな。今日会いに行ったのは、やっぱ狙ったん？」

去年の今日、俺が初めてA先生に会うた日

自分の事やないのに、それを覚えとるなんてさすがマル

「イヤ、たまたまやねんて」

ホンマにたまたま。彼女のクラスが公園に遊びに行くのが今日で

偶然俺もオフ。出会ったのが公園やったから公園で再開したいとは思っとったけど

まさか、初めて出会った1年後にそんな機会が巡ってくるとは

やっぱり俺達は、出会うべくして出会ったんかな…と、錯覚してしまいそう

「ほんで？会うただけやないんやろ？なんか話したん？」

興味津々の大倉

その言葉を受けて、一斉にこちらを見るメンバー

「告白……してきてん。“一緒におってほしい”言うてな……

でも、断られてもぉたわ。

“好きやけど一緒におられへん”てな」

「はぁっ？なんやそれ、訳わからへん！」

俺と同じような反応をする亮

「事務所に知られたら別れなアカンくなるやろうし、誰かに見られたら多くの人に迷惑かける。特にメンバーには迷惑かけてしまうからって。きっと賛成してくれへんやろって言われたわ」

「A先生らしいよなぁ。そういう考え方…」

“苦しかったろうに…”と眉を下げて悲しそうな顔をするヤス

「そこで、お前らに聞きたい事があんねん。A先生と俺の事どう思ってるのか。

賛成してくれとんのか、彼女が言うように迷惑かけられるのは困る。反対やと思ってるのか」

全員の視線を一身に浴びながら

「まぁ？お前らが反対や言うても、俺は彼女のこと諦める気ぃはサラサラないねんけどな」

自分の気持ちを素直に伝える

「半年もかかって彼女を探し当てる事ができたんも、再開した日が出会った日の1年後やったってことも、月並みな言い方かもしらんけど、“運命”なんやないかな？と思っとる」

スウッと息を吸い込んで、繋がったまんまの携帯を見つめて

「あかんねん。A先生やないと。
俺が傍におって欲しいと思える人は、たぶん後にも先にも彼女しかおらへんと思う」

ピンと張り詰める空気の中

「村上くんっ、俺はなっ…」

口を開いたのは亮やった