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「めんどくさい。」
人付き合いは正直言ってめんどくさい。
そこに迎合していかないと息が吸えない自分。
ちっぽけで弱くて一番ダサいってこともわかってる。
「おい、電源切るな。」
「･･･うるさい。」
「お前、今日出掛ける約束してんだからな。」
「わかってます。」
「電話通じねぇなって思ったら、電源切れてるし。」
「ごめんってば。」
「まぁどうせ家に居るだろうって思ったけどな。」
「ママは？」
「ちょうど出てきたところですれ違った。」
「そっか。」
「なんかあった？」
「んーん、なんも。」
「そっか。」
私の顔を見て、ベットに寄りかかってスマホをいじってる。
「樹はなんで私と付き合ってるの？」
「んーわかんね。」
「もう2年だよ？楽しい？私と付き合ってて。」
「楽しいから一緒に居るんじゃん？」
「そっか。」
「お前は？俺と居て楽しいわけ？」
「樹はまぶしい。」
「おい真剣に話してんだろうが。」
「至って真剣なんだけど。」
2年前、同じクラスだった樹は毎日みんなの真ん中に居る人でしかなかった。
みんなに優しくて、誰かを悪く言ったりしなくて。
自分とは真逆、後輩や先輩からも好かれる“人気者”って言葉にふさわしい人。
1学期の最後の日、樹から告白されて付き合うことになった。
「好きなんて感情を樹に持ったことなかった。
ただただまぶしくて、ちゃんと自分の足で立ててることが。
流されて適当に友達付き合いしてる私とは違ったから･･･憧れてた。」
「俺は、初めてクラスに入った日からお前が好きだった。
一目惚れってこういう感じなのかぁって、人生初だぞ？俺の初めてはお前。」
「やらしい言い方しないでよ。」
「やらしいって思うお前がやらしいんだよ！」
「樹はさ･･･めんどくさくない？人付き合い。」
「めんどくさいって思わないって言ったら嘘になるけど･･･楽しいじゃん？
自分とは違うやつらがいっぱい居て、勉強はダルいけど学校は好き。」
「私、たまに疲れて嫌になる。
友達付き合いもしたくないって思う自分が嫌いになる。」
「俺とは？」
「ん？」
「俺もめんどくさい？」
「うーん･･･樹がっていうか。」
「本当のこと言え。」
「･･･あると思う。
でも樹と話すとそういうの忘れるっていうのが本音。」
「それはマジ？」
「うん。」
「そっか。」
なんとなく樹が気になって、ちらっと見ると目が合う。
その顔は私の大好きな柔らかい樹だった。
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作者名：kiki. | 作成日時：2020年10月31日 20時
