ナガレボシ #03

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3時間目、4時間目を終えて廊下を歩いていると職員室の廊下に寄りかかる生徒。
Pコートを抱えて「VictorySix Aeronautical University」と書かれた封筒を持った勝利くんだった。
やっぱり合格だったんだ、そう思い少しだけ早歩きで近づく。


「お帰り。お疲れさま。」

「うん。これ一応見せに来た。」

「じゃあひとまず職員室入って。」

「その前に、先生なにか言うことないの？」

「ん？なにかあった？」

「合格したんだけど、俺。」

「うん。」

「超難関だよ。
　それ言ったの先生じゃん。」

「知ってるけど、えっ？なに？」

「はー。先生ってマジでなかなかのポンコツだよね。」


私の横をスッと通って、職員室のドアを叩き中に入っていく。


「おお勝利ーおめでとう。」

「ありがとうございます。」

「いやー生徒からpilotとかまじすごい。」

「まだ学校受かっただけですからね。」

「それでもさ、いやーすげー嬉しい。改めておめでとう。」


中島に話しかけられて、ニコニコの勝利くん。
そしてそのままハグをされて、苦笑いの勝利くん。

2人を横目に席へ座ると、勝利くんが持っていた書類を机に置いた。


「なんで中島に一番に言われなきゃなんないわけ。」

「勝利くん？」

「じゃあ。」


そそくさと職員室から足早に去って行った。
私…おめでとうって言ってなかったっけ？あれうそ言ったよね。

考えながら渡された書類に目を通してる中に、緑のポストイットを見つける。
そこには受けたテストの点数が書いてあって“１位”って書いてあった。
[せりちゃん、ありがとう]少しだけまあるい文字で勝利くんが書いたんだとわかる。

それを大切にしまって、書類もキレイに封筒へと戻す。


「巣立っていくんだな。」

「ん？」

「あともう10日。」

「10日？」

「そうだよ。」

「週末が楽しみじゃないことなんてあるんだね。」

「なー、週休2日ですら憎くなる。」

「淋しいね、中島。」

「やっすーもあとちょっとだし。」

「でも…2人で頑張ろうね。」

「おう。新しい生徒たちとの出会いもあるだろうし。」

「だね。」


今日で3年生の進路すべてが決まって、卒業を待つのみとなった。
私だけじゃなく中島も安井先生も初めての担任で初めて送り出す生徒。
思いもひとしおで、イベントが終わるごとに淋しい気持ちが見え隠れしてる。

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