21 プールサイドと夏のハジマリ / Daiki.S ページ42
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Yシャツをすぐに脱いで、シャワーを浴びてる間に洗濯と乾燥。
慣れないアイロンがけをしながら、今日のしげを思い出す。
「もっと可愛いのつけとけばよかったな。」
そんなことを思う自分に少しだけ気恥ずかしくなった。
「新品みたいやな、ありがとう。」
「いやこっちこそ。」
「ええよ、別に。」
私の顔を見ることなく受けとったYシャツをしまい、机に突っ伏した。
朝のしげは少しテンションが低くて、優しい声になる。
その声が昨日のしげと重なってきゅっとなる。
昼休みになり食堂を向かうと、後ろから肩をトントンと叩かれた。
「のんちゃん。」
「Aちゃん、購買？食堂？」
「友達がお休みだから食堂で済まそうかなって。」
「せやったら屋上いかん？」
「屋上？」
「プールサイドのベンチ。」
「ひとりで食べるの？」
「しげと流星と神ちゃん。」
「4人で食べてるんだ。」
「Aちゃんも行こうや！」
「うーん。」
「しげの彼女のこと聞きたいし。」
「まだ聞けてないの？」
「全然教えてくれへんねん、やからAちゃんも協力して。」
「協力するの？」
「してやー気になる。」
「神ちゃんも藤井くんも気になってなかったけど？」
「やってさ2人は知ってるんやもん、気にならんやん。」
「そっか。」
昨日居た子たちの中に居るのかなって思うと気になる。
知りたいけど、知りたくない、なんとも言えない気持ち。
「Aちゃんは気になる？」
「うーん、でもしげ言いたくないんじゃないの？」
「俺だけ知らんねん、たぶん。」
「私も知らないからよくない？」
「しげからそんな話聞いたことないねんなぁ。」
「彼女とか？」
「それもそうやし、だれだれが好きとか。」
「そうなんだ。」
「しげ結構モテんねん。」
「モテそう、しげだけじゃなくて。」
購買にある冷蔵コーナーからサンドイッチをひとつ取る。
「それだけでいいん？」
「うん、あと飲み物買おうかな。」
「自販機のが冷たいからそっちで買お。」
私の手からレタスサンドを取って、一緒に買ってくれた。
「そういうとことか。」
「俺はモテるなぁ…たぶんモテる方。」
「神ちゃんも藤井くんもモテるでしょ。」
「まぁまぁ…そんなしげが彼女って結構レアやねん、だから。」
「ふぅん。」
紙パックの自販機に500円を入れて、のんちゃんの分も買う。
しげにお礼をしようと思って、カフェオレも一緒に買った。
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作者名：kiki. | 作成日時：2019年3月9日 21時
