紛れ込んだ異常 ページ19
「それについてはとても簡単にお答え出来ます。
…何年前の話かは忘れてしまいましたが、私はここ冬木で行われた聖杯戦争で呼び出されたサーヴァントでした。勿論キャスターとしてね。」
「そこまではサーヴァントである私にも分かります。多分、シロウにも」
「ああ。…でも、問題は…」
「何故受肉しているか、ですね?」
Aの言葉の後に、誰かの唾を飲む音が重なる。再び緊張感が走った。
そしてその緊張感は、Aの次の言葉で驚きに変わる。
「私の元マスターが、勝ち取った聖杯に願ったんです」
「…あんなモノが願望機として機能するはずがない!!貴女もあの日見たでしょう、際限なく厄災を垂れ流すあの光景を!!」
「恐らくだが」
激情し顔を赤くして、魔術師の少女は勢いそのままに立ち上がった。
対して全く冷静な黄金の王は、少女を遮り、宥めるように言葉を紡ぎだした。
「この女は気付いていたのだろう。あれが『聖杯』の名を語った、形を持たぬ半端物だということに」
「ええ勿論。召喚された時点で気付けぬようでは魔術師としては二流ですよ」
柔和な微笑みを崩さずそんな事を言うのだから、それが本気なのか、挑発しているのかが解りづらい。凜は眉を潜めた。
「…そしてその聖杯もどきでは主の望みを叶えられないので…それを完璧な聖杯へ仕立て上げた。
違うか?『キャスター』」
キャスターは是とも否とも言わず、ただ微笑んだ。
「…そんな事、」
「マキリとかいう三流が出来たのなら、この私にできない道理はありません」
圧倒的な自信。…というより、出来ないという考えがそもそも頭に無いようだった。
プライドではない。
確信でもない。
ましてや、慢心なんてもっての他。
「…衛宮君、この人、ヤバイわ。
多分、息を吸って吐く、位の意識で聖杯1、2個作れるレベルよ」
いやもうレベルとか当てはめられない、この人、冠位と同じかそれ以上よ。
『規格外』。
その評価を目の前で下されても、彼女に変化はない。
異常とは無縁の、ごく普通を纏う目の前の『何か』。
未熟な魔術師は、恐怖を感じない、感じさせないことに寒気を覚えた。
「…話が逸れそうですので、戻しますね。
説明するのが面倒だったので、関係者にバレないようこっそり本物の聖杯にして、それで勝ち残った彼は私の受肉を願いました。
ここまではいいですね?」
「…次の、『聖杯の管理者』ってのは?」
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あめ(プロフ) - めちゃくちゃ続き気になります、、、!!!!また読めるときを楽しみにしています! (2020年3月24日 0時) (レス) id: 234461cd72 (このIDを非表示/違反報告)
クミコさん - ねぇっ、ちょっ!気になる!!イケメンはどこまでもイケメンだなぁ!!おい!!ギルよ!!更新欲しいです。待ってます (2020年3月6日 0時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - アルっさんさん» 外道神父一発で変換出てこなくて困りますね…!(笑)有難う御座います、お互い頑張りましょう。(o^―^o)カニファンが混じったのは…ギルギルマシンのせいです…(言い訳) (2019年1月17日 21時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - 若干のカニファン時空を感じます…!しゅき!(挨拶)因みに外道神父は綺麗でなく綺礼ですよう。更新頑張ってくださいまし。私も、頑張って書くから。 (2019年1月17日 9時) (レス) id: e853ddccde (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お褒めの言葉有難うございます(土下座)思いつきの作品ですがギル様への愛は込めさせていただいております!伝わったようで何よりです…! (2019年1月14日 22時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki x他1人 | 作成日時:2018年12月29日 19時