相思相愛とは。 ページ16
「―――愛している」
そう言った。
驚くべきことに、目の前の男は今確かに、愛している、と、
そう言ったのだ。
この私に。
「は、なな、何、で…？」
思わず声が漏れる。そりゃそうだろう。
あのギルガメッシュが「見当が外れた」なんて言うということは、「眼中になかった」と言っているのと同じ。
彼を知る人がこの場にいたなら、十中八九「これはフラれるな」と思うだろう。私だってそう思っていた。
なのに。
信じられない。
彼との距離が、こんなにも近い。
「何故、とは、異な事を聞く。
『我が惚れた。』
理由はそれだけで十分であろう？」
顔が近い、というのもそうだが、
この近距離で真っ直ぐに見つめられては、こちらの心臓が持たないというものである。
こちらの心情を知ってか知らずか(私は高確率で前者だと思っている)、ギルガメッシュは唇を歪める。
その表情はいつもの意地の悪い笑顔のようだったが、赤い眼光は見たこともない優しさを、ほんのちょっぴりだけ含んでいた。
「…ほ、ほんとに、ほんとに私の事が、その」
「好きだとも。」
こちらが言い切る前に言われてしまった。
耳に入る言葉が、いつになく甘く、優しい。
そのことに気づいた途端、封を切ったように顔のほてりが増していく。自分でもわかるくらい、熱い。
なんで今更こんなに熱くなったんだ、とも思ったが、そういえば『愛している』と言われた直後は羞恥よりも驚きの方が強かった。それが、改めて再度言われたことで、夢なんじゃないかという疑いが晴れ、現実味が、増し、て。
「―――〜〜〜、‼⁇」
「百面相か、貴様は。
まったくもって飽きぬやつよ。」
「だってなんか、…は、はずかしくて、」
『心臓だけじゃない、全身が脈打っているんじゃないか。』
本当にそう錯覚してしまうほど、少女は人生で一番羞恥に身もだえていた。
男は少女の反応を満足げに眺めていたが、ふと思い出したように
「…というより貴様、今の今まで我の好意に気づかんかったのか」
と尋ねた。
少女は俯いていた顔を上げた。が、すぐに目を逸らす。
「お恥ずかしながら、全く……。」
「…それなりの合図は出していたつもりだったが。」
鈍感も過ぎるぞ、と若干呆れ返っている王。
「そうなの？…なんか、ごめん」
「謝るな。ますます貴様が哀れになる。」
「…え、なんで同情されてるの私？あれ？」
…相思相愛とは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 171人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あめ(プロフ) - めちゃくちゃ続き気になります、、、！！！！また読めるときを楽しみにしています！ (2020年3月24日 0時) (
レス) id: 234461cd72 (このIDを非表示/違反報告)
クミコさん - ねぇっ、ちょっ！気になる！！イケメンはどこまでもイケメンだなぁ！！おい！！ギルよ！！更新欲しいです。待ってます (2020年3月6日 0時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - アルっさんさん» 外道神父一発で変換出てこなくて困りますね…！(笑)有難う御座います、お互い頑張りましょう。(o^―^o)カニファンが混じったのは…ギルギルマシンのせいです…(言い訳) (2019年1月17日 21時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - 若干のカニファン時空を感じます…！しゅき！(挨拶)因みに外道神父は綺麗でなく綺礼ですよう。更新頑張ってくださいまし。私も、頑張って書くから。 (2019年1月17日 9時) (レス) id: e853ddccde (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - お褒めの言葉有難うございます(土下座)思いつきの作品ですがギル様への愛は込めさせていただいております！伝わったようで何よりです…！ (2019年1月14日 22時) (レス) id: 8578abe528 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki x他1人 | 作成日時：2018年12月29日 19時
