心臓 ページ32
胸がじくじくと痛む。今更、だって、拒絶は慣れっこだったじゃないか。
それでも……寂しいな。
シンアは無意識に眉間に少し力が入る。
黄金の瞳は仮面の奥で、静かに揺れていた。
Aの様子がなんだかおかしい。
いつもは無口な俺にも気が付いたらすぐに挨拶をしてくれるのに
今日は目すら合わせてくれない。
最終的に怒ったのか天幕の中に戻ってしまった。
「もー!なにあれ!……いや、でも……ジェハの……」
ユンが何かぶつぶつ呟いているがあまり耳に入らない。
嫌われて、しまったのだろうか。何がいけなかったんだろう?
俺は喋るのが得意じゃないから嫌気がさしたのかな?
それとも化け物だと思い出して気持ち悪くなったのかもしれない。
「ぎゃーーーーー!!!」
火の揺らめきを見ながらぐるぐる考えているとAの叫び声が天幕の中から聞こえた。
何かあったのだろうかと立ち上がるが、先ほどの反応を思い出して一瞬躊躇する。
戸惑っていると、ユンに肩を叩かれた。
ユンの方を見ると呆れたように首を振っている
「……ばかで不器用なだけだから気にしない方がいいよ」
「……」
_______
それからどれぐらいたっただろうか。もしかしたらほんの数分だったかもしれない。
ふと顔を上げるとAが天幕から出てきた。
さっきとは違い俺の元に迷わず歩いてくる。
「あっ……ごめ……」
Aは無言でシンアの隣にドカッと座る。
少し勢い余って近くに座り過ぎてしまい、
シンアのもふもふの部分がAの首筋に当たった。
「A……?」
Aがじっと俺の顔を覗き込んだ。その貫くような瞳が美しくてしばらく見つめあう。
「……ごめん」
一度瞬きをした後、Aがぽつりとつぶやいた。
「本当は、こんな態度をとりたいわけじゃなかったんだ。……ただ、どうしていいかわからなくて」
「……俺が、いやじゃないの?」
「そんなわけあるかよ!ごめん、好きだよ。大好きだ」
「俺も……好きだよ」
「じゃあ仲直りしてくれるか?……って俺が勝手にひどい態度をとってただけなんだけどさ」
Aが目を伏せて、瞳は黒いまつ毛に覆い隠される。
よく見ると根本だけ明るい色のような気がした。
「うん……A……おはよう」
「……!ああ!おはよう」
Aの目に見とれたせいだろうか。
せっかく仲直りしたのに、何故か俺の心臓はまだどくどくとうるさかった。
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ゆり(プロフ) - 孤歌さん» まあたしかにそうですねw私も誰かを嫌いになるなんて出来ん (2018年5月4日 21時) (レス) id: ac6da19429 (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 正直、みんな好きなんですよね( ・ε・)ただ祝いたいだけですよ(゜∇^d)!! (2018年5月4日 20時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 孤歌さん» happybirthday!もしかしてジェハ推しだったりします?! (2018年5月4日 20時) (レス) id: 2661391c55 (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして!ジェハhappybirthday! (2018年5月4日 13時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - れお。雄也loveさん» ありがとうございます〜〜〜!遅くなるかもしれませんが書かせていただきます!ありがとうございます!(2回目) (2018年4月1日 19時) (レス) id: 2661391c55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆり | 作成日時:2018年2月17日 10時