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78話 ページ30








聖菜ちゃんといい、知宙といい、あの子といい…



体育祭が終わってから、みんな前より積極的になった気がする。


行事になるとカップルが増える、みたいな

イベントマジック、みたいな…?



一気にみんなが動き出して

少し混乱している自分がいた。



だって、今まではみんな今の関係を壊さないように

曖昧にすることばかりだったから…。





望「……A?」


またもやぼーっとしていたのか、隣から望の心配した声が聞こえてきた。


望の問いかけに隣に視線を移すと、大毅とあの子の楽しそうな、嬉しそうな笑い声が聞こえてきて。






…あぁ、なんだかもう


私が何を考えたって、何を悩んだって

何も変わることはないんだ。



私が何をしても、もう2人の間には入り込めない。

何十年も一緒にいた私じゃなくて

この前知り合ったばかりのあの子に、



…………私は、負けたんだ。







望「A…?やっぱり今日、なんかおかし………」



涙が溢れてくる前に

望や、みんなに…こんな顔を見られてしまう前に




勢いよく立ち上がり、教室を出る。





走っている間にも、頬を熱い涙が伝っていくのがわかる。


目頭が熱い。胸がぎゅーっと苦しい。辛い。




辛いよ、助けて…………………









「淳太っ!!」









勢いよく開けたドアの向こうには、驚いた顔の3年生たち。



照史や崇兄も、目を見開いて私を見つめている。


しーんと静まり返った教室の中で、淳太だけが冷静に立ち上がった。





淳太「…やっと泣けたんやな、A。」




私の目の前までやって来ると、ぎゅっと優しく包み込んでくれる。



その瞬間、ドッと力が抜けて


淳太にもたれながらしゃがみ込んだ。





私の涙は、しばらく止まることを知らなかった。






けどさすがに教室の目の前でずっとしゃがみ込んでいるわけにもいかなくて、淳太が私を抱えて保健室に連れて行ってくれた。




保健室のベッドの、真っ白なシーツの上に優しく降ろされたところから



私の意識は途絶えた。









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作者名:ホワイトモカ x他1人 | 作成日時:2019年9月27日 0時

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