77話 ページ29
…
月曜日。
1日中机に突っ伏したまま動かずにいた私は、今日誰とも喋っていない。
ほんとは学校なんか来たくなかった。
だけど家でじっとしていることもできなくて。
だって、嫌でも気になってしまう。
あの2人のことばかり考えて昨日も眠れなかった。
体育祭から帰ったあと、私が前の日に“泣くかも”なんて言ったから淳太は少し心配そうだったけど
何もなかったかのように明るく振る舞った。
だって、今泣いたら
あの2人が付き合ったって認めてしまうことになりそうで。
あの子に負けたんだって、思い知らされそうで……。
ちゃんと結果を知るまでは
泣いちゃダメだ。
愛美「大毅先輩、お昼一緒にいいですか…？」
教室の前の方から聞こえてきたそんな声。
“あの子”の声だ。
なんであの子がここに？
やっぱり、2人は…
考えるほど、涙が出そうになる。
だめだ、まだ、泣いちゃ………
ぽすっ
流星「もう昼やけど。いつまで寝てるんですか〜」
頭上から聞こえてきた流星の声。
見上げると、珍しく持ってきたらしいお弁当の包みを私の頭の上に乗せている。
流星「…また、涙目やし。」
はぁ、と困ったようにため息をつくと
廊下側の席を指差す。
流星「もうみんな集まってんで。」
ほんとはみんなと一緒になんて食べたくない。
大毅とあの子なんか見たくない。
今ここで思いきり泣いてしまいたい。
流星「ほら、はよ。」
だけど強引に腕を引っ張られたせいで
いとも簡単にみんなの輪の中に入りこむ。
聖菜「今日はともくんと聖菜も一緒にええ？」
ご機嫌な聖菜ちゃんは、智洋に腕を絡めながらにこにこ。
大毅「おー、ええよ。」
あの子が、聖菜ちゃんに小さく“ありがとう”と言ったのがわかった。
きっと、大毅と食べたいから一緒に来て欲しいとでも頼んだんだろう。
いつも以上に智洋にベタベタくっつく聖菜ちゃんをぼーっと眺めていたら
一瞬智洋と目が合って、気まずそうに逸らされた。
流星「…A、食べへんの？」
流星に言われ、慌ててお弁当を開く。
そう言えば、今日は流星もお弁当だ。
「珍しいやん、お弁当なんて」
流星「あ〜…知宙がくれた。」
意外な返答に、思わず流星を見つめる。
流星「…別に、食費減るしええかなって。」
そう言うと、さっきの智洋と同じように
少し気まずそうな表情で私から視線を逸らした。
…
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作者名：ホワイトモカ x他1人 | 作成日時：2019年9月27日 0時
